「御上さんのこと……襲いたい」

「!?」

「でも……嫌われたくないし、手ェ出したら俺に興味失いそうだし……襲いたくない」

「? つまり……」

「襲いたいけど襲いたくなくて、葛藤してる」

春日井くんの頬に触れている私の手がじわじわと熱くなってくるのは、彼の頬がすごく高温だからだ。


目の前の彼が、とんでもなく愛らしく見えてきて、私の心臓は空気が目一杯入ったビニールボールのようにポンポンと弾んでいるような感覚になる。


緊張とかのドキドキとは違う。ふわふわとしてる不思議な感じだ。



「春日井くんって、いい人なんだね」

「……そんなんじゃない。ただ好きな子に嫌われたくないだけ」

「悪い人なら、とっくに私襲われてると思う」

「……うん。だから俺以外の男に強請ったりしちゃダメだよ」

春日井くん以外の男の子に頼んだりしないのに。

真っ赤になってる春日井くんがもっと見たくて、穴が開きそうなくらいじーっと見つめてしまう。脳裏に焼き付けたい。



「ねえ、御上さん。ポニーテール似合ってるね」

「え? ありがとう」

春日井くんの手が私の髪の毛に伸びてきて、ポニーテールを揺らしてくる。


「男子が御上さんの今日の髪型かわいいって釘付けだった」

「そうなの?」

私、ポニーテールが似合うとは知らなかった。今日は寝癖があったから結んだだけだった。


でも春日井くんが褒めてくれるなら、明日もポニーテールで学校に来ようかな。




「うん、だからさ……もうポニーテールしちゃダメだよ」