「春日井くん、あの噂知ってる?」

放課後に音楽室で待っていた私は、現れた春日井くんにすぐさま詰め寄った。


「え、なに、どうしたの?」

私の勢いに驚いている様子の春日井くんは、じりじりと後退して壁にぶつかってしまう。


「私と春日井くんがお似合いだって噂されているらしいの」

「わーい」

「バカップルだって!」

春日井くんはそういうの嫌がるかなと少し思ったけれど、むしろ上機嫌になる。


「でも不思議だよね。昨日は春日井くんと私って似合わないって言われてたのに」

春日井くんはチャラ男という認識を生徒たちにされている。そして、彼を見る女子たちは大きく分けて二つ。


自分も遊んでほしい女子と、潔癖系でありえないと拒絶する女子。
遊んでほしい女子は比較的、髪色も明るくて派手なのだ。


ひーちゃんは春日井くんと同じ中学らしく、
『昔はあんなんじゃなかったのに』と言っていた。


どうやら中一までは爽やか系のスポーツ男子だったそうだ。
でも部活を辞めて、二年頃から今のようなチャラチャラした人になってしまったんだとか。