席に座ると、村井さんが申し訳なさそうに謝ってきた。

「御上さん……春日井くんと付き合ってたのにあんなこと言っちゃって」

「違うの。あのときは本当に付き合ってなかったんだ」

「え……そうだったの? あ、でも……」

言葉を止めてしまった村井さんに、どうしたの?と聞くと、少し照れたように村井さんが頬を染める。


「春日井くんはすっごく好きだったんだなって思って」

「……な、なんで?」

「だって御上さんが手を振ったとき、これでもかってくらい幸せそうな顔してたから」


恥ずかしさがこみ上げてきて、頬が熱くなってくる。あのときは村井さんに付き合っているのかと聞かれても、こんな気持ちにはならなかった。

だけど思い返してみると、春日井くんの行為はすごくわかりやすいくらい表情に出ていたように思える。

そのことを感じて少し頬が緩んでしまった。