「俺のこと、好きじゃないんだよね?」
……キスのことで頭がいっぱいになっていたけれど、そうだった。
こういうのはお互い思い合ってこその行為。私はつい浮かれてしまっていた。
「それなのにいいの?」
「ごめんね、無理やりしたいわけじゃないの。急にこんなこと言って驚かせちゃったよね」
仕方ないけれど妄想を総動員してみるしかない。私の妄想力で満足できるかが問題だけど。
「他の男にでも頼むつもり?」
「え? ……それは思いつかなかった」
春日井くんは女の子と遊んでいて破廉恥に生きているとはいえ、私の発言に引いているのかもしれない。私もさすがに冷静になってきた。
「絶対ダメ」
「そうだよね。ドン引きされて気持ち悪いって言われちゃうよね。最悪捕まるかもしれない」
「頼むなら俺にだけにして」
その言葉に目を見開く。つまりそれは了承してくれたということなのだろうか。
「御上さんがこんな変態だとは思わなかった」
「私、春日井くんにキスされてからこんな風になっちゃった」
「いや……キスする前から変態じゃない?」
妄想に留めて実践はしてこなかったので、ギリギリのラインは保っていた。けれどこの間から衝動が抑えられなくなりそうなのだ。



