「でも今誰もいないし、最後の思い出作りに」
「なんで思い出づくりがこれ!? 俺やられっぱなしじゃん!」
私の思い出づくりをしてもらっているので、必然的にこうなってしまう。
ごめんね?と微笑むと、納得がいかないらしく春日井くんが私の腕を掴んで引き寄せてくる。
「っ、待って春日井くん」
「やだよ、待てない」
唇が触れるまであと数センチのところで、春日井くんが止まった。
「散々俺で遊んだんだから」
荒々しいキスでもされるのかと身構えていると、重なるだけのものだった。
形を確かめるようにゆっくりと食まれて、口を薄く開けばぬるりと舌が入ってくる。
春日井くんの舌が私の中を味わうように絡まり、心臓の鼓動が速くなっていく。
酸欠なのか、それともこの状況に対してなのかはわからない。だけど、ドキドキして崩れ落ちそうになる。
長いキスが終わり、息を整えていると座ったままの春日井くんが私を上目遣いで見つめてきた。
そして私を膝に乗せると、ワイシャツのボタンをひとつ外される。
「綺梨ちゃん、鎖骨噛まれるの好きだよね」
春日井くんの指先が私の鎖骨をなぞり、そのくすぐったさに身をよじった。
「スススッストップ!」
「だーめ」
「——っ!」
鎖骨を舌でなぶられた後、歯を軽く立てられて噛まれる。
あらかじめ刺激を覚悟していたため、片手で口を押さえて必死に声を殺した。



