「なら……キスして」
「どこに? 口? 頬? それとも……耳?」
「あー……もー! 意地悪して楽しんでるでしょ!」

うん、楽しんでる。とっても楽しんでる。最高です、春日井くん!
赤くなっている耳に、指先をちょんっと触れてみる。


「っ!」
「可愛いね、春日井くん」
「ばかばかばか、綺梨ちゃんの変態」

そんな可愛い怒り方をされても、愛しさしか生まれない。今すぐ抱きしめたいけれど、その衝動をぐっと堪える。


「耳にキスしてほしい?」
「……」
「嫌がらないんだ?」
「っ、」
「してほしい? それともしないでほしい?」

口をはくはくとさせた春日井くんが少しの沈黙の後、消えそうな声で言った。


「……ほしい」
「なーに?」
「……キス、して」

心臓が撃ち抜かれた。
春日井くん、恥じらいながらお願いしてくる姿、破壊力抜群……!

春日井くんの耳に息を吹きかけてみるとびくりと体を揺らした。いつもよりも反応がいい。

こ、これは目隠し効果!?
ごくりと生唾をのみ、舌先を耳に当ててみる。