俺にもっと執着してほしい。好きだと離したくないと、強く思ってほしい。
綺梨ちゃんは俺の首の後ろに手を回すと、引き寄せるようにしてキスをしてきた。


奪うような甘ったるい行為は、俺に縋りついてくれているみたいで、それに応えるように綺梨ちゃんに深く絡める。

長いキスをかわしたあと、綺梨ちゃんに抱きしめられて熱い吐息が耳にかかる。


「一樹くん」
「……え、」

初めて下の名前で呼ばれた衝撃によって、心臓が不規則に跳ねる。

いやいやいや、今はまずい。相手は病人だし、ここは保健室だし。
てか先生戻ってくるかもしれないから離れないと。いやでももう一度呼んでほしい。


「っ、綺梨ちゃん」

抱きついている腕を引き剥がして、綺梨ちゃんに視線を向けると



「……寝てる」

心地よさそうに寝息を立てていた。



寝顔可愛い……けど、そうじゃなくて!

…………今度また名前で呼んでほしい。