「風邪だと、綺梨ちゃんは甘えたがりになるんだね」
「だって……春日井くんどっか行っちゃいそう」
「行かないよ」
「他の女の子のとこ行くくせに」

熱のせいなのか、脈絡のないことを話してくる。どうして他の女の子のところに行く話になっているんだろう。


「春日井くん、いっぱい女の子知ってる」
「んー……」
「でも私、春日井くんしか知らない」

もしかしたら普段あまり口には出さないけれど、綺梨ちゃんは俺の過去のことを気にしていたのかもしれない。


「綺梨ちゃんは俺しか知らなくていいよ」
「でも不公平」
「それでも、俺以外の男なんて知らなくていいの。浮気なんて絶対させない」


温度の高い綺梨ちゃんの頬に手を当てて、再び口づける。
彼女が浮気なんてしないのはわかっているけれど、それでもあえて伝えておく。


俺、結構面倒くさいんだよ。
綺梨ちゃんのこと清楚だって言って憧れている男たちに、優越感を持っている。

俺だけが知っている綺梨ちゃんは、本当は清楚じゃない。好奇心旺盛な変態彼女。



「綺梨ちゃん、キスして」