高一のとき、一つ下の妹が家出をした。

原因は父が連れてきたお節介な女だったけれど、多分それよりも前からずっと妹には父が連れてくる女関係で不満を抱いていたのだと思う。


父も父で、母親がいた方がいいのではないかとか、そういう心配もあったらしい。
親の心子知らず、でもあるけれど、子の心親知らず。

俺たちは別にもうそこそこ育っていたし、今更母親を求めたりなんていないのに。


それに俺らは、よく優しさの押しつけをされてきた。

母親がいないから寂しいだろうって、可哀想だって……だから頼んでもいないのに家に上がり込む女もいて、その度に家の物の配置を変えられたり増やされたり捨てられたり、俺らの中に土足で入ってくる。


一方的に作られた料理は、虚しい塊。
母だと思っていいなんて言葉は、傲慢で滑稽。


俺らには俺らの世界があるのに、壊そうとしてくる。



『寂しいでしょ』

母親がいないことを知った女の子たちは大抵こう言う。
だから、女の子と遊んでるの?って。

それはそっちから仕掛けてくるだけで、別に俺が求めているわけでもない。


正直どうだってよかった。
誰が相手でも、泣かれても、縋られても、あまり興味が湧かない。