高校生にもなって、初恋もまだだ。
多分この先恋をすることもない。だからといって、誰も男の人として意識しないわけではない。

正直なところ、零夜も男の人として見てしまっている自分もいると思う。

でもやっぱり、私たちは結ばれてはいけない関係、だと思う。

結婚が決まっている。

それはわかっている。

でも、愛のある結婚はしてはいけないと思っている。

愛のある結婚をしたいと思う、その一方で、私は怖い。


お互いが愛し合って結婚してしまえば、いつか悪い面が必ず見えてくる。

それはいずれ二人の間に亀裂を生む。

そうすれば、2人の距離は広がる一方だ。

そしたら最後、私たちに残されるのは離婚。

そうなるならいっそ、お互いを愛さないまま友達として、同志として生きていった方がいいのではないかと思う。

もし、私が普通の女の子だったなら、こんなことは考えないだろう。

でも私は普通じゃない。

私が判断を誤れば、組や族に影響を与えてしまう。
私と零夜が離婚するなんてもってのほかだ。

そんなことになってしまったら、組にどれだけ影響が出るか分からない。

だから、私は怖い。怖いから愛せない。

でも正直、彼を愛さないなんて、無理だろう。

私も心のどこかでずっとそう思っている。
多分、ずっと前から、彼のことが好きだ。

その反面、どうしても怖いと言う思いが勝ってしまって、認めなくないんだと思う。

初恋がまだなんて嘘だ、きっとずっと前から彼のことが好きなのに、それを認めず避けているだけ。

零夜は私の全てと言っても過言ではない。

零夜だけはどうしても失いたくない。

だからずっと今のままの関係がいい。



そう思っていたはずなのに、今朝零夜にキスされた。

あのキスに意味があったのか、なかったのか私には分からない。

どうして突然あんなことをしたのかも分からない。

だけど、あの瞬間私が零夜を男の人として意識したのは明らかだった。