華月を初めて守りたいと思ったのは、あの時なのかもしれない。

物心ついた時から不思議に思っていた。

家に怖い男の人がたくさんいるのは何故なのか。

どうして、伯父や従兄弟が次々に死ぬのか。

家族以外のたくさんの人と暮らしているのは何故なのか。

何故、小学生なのに高校生レベルの勉強をさせられ、格闘技の技術を身につける必要があったのか。

初めて自分の家が、暴力団の家系であると気付いたのは8歳の時だったと思う。

でも、俺には七歳年上の兄貴がいた。

だから将来組織をまとめるのは俺では無いと思った。

それでも兄貴のためになれればと思って、日々努力し続けた。

自分の家柄のせいで、小学校の時は友達が誰一人としていなかった。

俺と遊んでくれるのは兄貴と、隣の屋敷に住む、華月だけだった。

小さい頃から、華月と結婚することは決まっていたし、それをずっと言われ続けてきた。

幼い俺には結婚するという意味がよく分からなかった。

いずれにせよ華月と遊ぶのは楽しかったし、毎日学校から帰ってきて華月と遊ぶ時間は、小さい頃の俺にとって最高の時間だった。