闇の夜に咲く、一輪の華

「え、萩野くんも…!」
ありえないぐらい目を丸くしておどろく飯田くん、そんなに驚くことだろうか。


「は〜い、私は月城愛佳です!零夜の従姉妹だよ〜。本当だ!これは育てがいがあるなぁ。」

愛佳は飯田くんを見るや否やハサミを構えた。

「愛佳さんですね、よろしくお願いします…って、え!何するんですか…え、僕切られる?」

可愛い女の子相手にさすがに表情が緩んだ飯田くんだったが、突然登場したハサミに怯えている。

「髪、切ったらいいと思って。飯田くんかっこいいのにそんなに髪長かったらもったいないよ。

もっと飯田くん、いいや健人の魅力を全面に押し出さなきゃ!」
熱弁してみたけど、私の気持ちは伝わったかな。

「え、でも僕なんか…」
ああ、また始まった。そういうとこを直したらいいのに。

「ちょっと健人!卑屈にならない!
ポジティブに!あと一人称は俺!

その方がなんかいい!あと、前見て歩く!自分の意見ははっきり言う!

それで何か悪口とか言われたら零夜と華月が倒すから!ね!自信持つの、自信を!」

髪の毛を切りながら、これでもかという程に熱弁する愛佳。
きっとこれで私たちの気持ちは伝わったに違いない。

「…心強い、ね。」

「そうだよ、もっと私を頼っていいの!
あとね、その制服大きすぎてすごい太って見えるから買い替えといたから!
明日からはそっち着ていきな。
みんなが生まれ変わった健人見て、驚く姿見たいんだから!」

「…健人はね、かなりイケメンだよ!もっと自信持ちなって!」

ここぞとばかりに、健人を褒める私。
健人は本当にいい人だし、楽しい学校生活を送ってもらいたい。

「…でも僕なんか…」

「僕なんかとか言わないの!自信持つ!
馬鹿にしてた奴ら、見返したくないの?」

試しに彼にそう言ってみた。

すると、「…たしかに。見返したい。」

「…でしょ?あ、そうだ、大事なこと忘れてた。コンタクト、買っておいたから!」

「…何から何までありがとう…。
俺、何にもしてないのに。」
涙を流しながら、必死に感謝の思いを言ってくれる健人。

「健人は週に1回パンケーキを作ってくれるだけでいいの!それだけで十分だから。」

「…うん!」