家の前の一本道に突入した時、私は違和感を感じた。
門の前に誰かがいる。それがはっきりと見えた。
「誰だ?」零夜も気付いたようで声を上げる。
「………輝姫と美姫の総長だ。」
門の前に車を止めたその時、やっと門の前に誰がいるのかを理解した。
「俺が行く。」
私は零夜に車で待っているように言って、外へ出た。
「…麗龍の黒蝶ですか…?」
美姫と輝姫の総長が言う。
「…あぁ、俺が黒蝶だ。お前らは、輝姫の琉唯と遥瑠だな。」
何故だろう、こうして対面しているのに一切の闘気を感じない。
むしろ怯えすらを感じる。
「そうです。お名前を覚えていただけていたなんて…光栄です。」
おかしい、何が目的だ?
「…麗龍に何の用だ。」
「…その事ですが実は……」
妙に緊張した面持ちで、琉唯が切り出す。
『麗龍と陽影の、傘下に入れていただけないでしょうか?』
「…は?」
きっと私は今阿呆みたいな顔をしているだろう。でも仕方がない、驚いているのだから。
「私たち輝姫と美姫は元々、不良やチンピラの暴力など被害にあった女の子を助けるために、出来た暴走族です。
まあつまり暴走族というのは名ばかりというわけです。」
「麗龍や陽影と似ているな。」
「そうなんです。私たちの目的は族の名前を全国に知らしめることではなく、女の子達を救うことにあるので、その目的さえ遂行出来ればいいんです。」
「つまり麗龍、陽影と手を組んで力をつけたい。
あわよくば麗龍、陽影の名前を借りることで、地域から少しでも被害が減れば…ってとこか?」
なるほど、考えは把握した。
こんなことを言われたら言い返す言葉はひとつだ。
「……まさにその通りです。無茶苦茶な事を言っているのは承知の上です。それでも…」
「…分かった。手を組もう。」
「…ほ、本当ですか!?」
「…あぁ、でも、もし裏切るような真似をしたら、お前らを潰す。
そのつもりでいろ。まあ、この様子を見てるとそんなことはなさそうだな!」
「…ありがとうございますっ…」
「ところでだけどなんで敬語?同い年じゃなくて?」
麗龍の総長ってだけで敬語を使われるのは、なんだか気が引ける。目上の人でもないのに…
「…え、いいんですか?じゃなくていいの?」
琉唯は控えめにつぶやく。
「いいに決まってるじゃん、手を組むと決まれば、私たちは仲間なんだから。」
「嬉しい…」
遥瑠に至っては若干目に涙を浮かべている。
「感動しすぎだよ〜。
まあそうと決まれば、話は早いな。うちに住むか?」
普段の口調と男口調が混ざったなんとも言えない状態で私は、琉唯と遥瑠に言う。
「…でもやっぱり私たちは関西にいて、地域を守るべきだと思うんです。」
「…確かにそうだな。よし、じゃあ父に掛け合ってみよう。
輝姫と美姫の屋敷を早急に構えることにして、あとは麗龍と陽影から20人ずつ人を貸そう。
それで格段に強くなれるはずだ。」
「……黒蝶…。ありがとう。」
「…あ、本名教えておけばよかったな。私の名前は桐ヶ谷華月。」
「私は輝姫の琉唯。本名は水谷琉唯。」
「私は美姫の遥瑠。藍川遥瑠です。」
「最近までずっと二組は不仲なんだと思ってたよ。不思議なこともあるもんだね。」
「あ、一つだけ言い忘れたことがある。
協定を結ぶからには……麗龍が青竜を攻める時は、必ず手を貸せ。それが条件だ。」
青竜の汚い手に対抗するにはどうしても人数が必要だ。
当然、今の麗龍と陽影だけでは賄いきれない。
私は以前からずっと作戦を立てているのだ。青竜と朱雨を倒すための作戦を…。
「…もちろん。いくらでも貸す。」
輝姫も美姫も想いは同じなようだ。
「じゃあ、決まりだな。近くの旅館予約しておいたから、今日はゆっくりみんなで休んでから帰りなよ。
長旅で疲れたでしょ?
なんなら、三日ぐらい休んでいったらいいんじゃないの?宿代は麗龍が持つから。」
きっと彼女達は総長になってからまともに休んでいないだろう。
パッと見ただけでは分からないが、そこはかとなく疲れていることが伺える。
このような子がこれ以上増えないように、もっと平和な世界になったらいいのに。
「…色々気遣いありがとう。お言葉に甘えて三泊してから帰るね。」
「うん、その間に麗龍の奴らを向かわせとくから心配するな。今はゆっくり休め。」
「あ、え、もう五時だ。
じゃあ私は予定あるから、またね!何かあったら連絡してね、駆けつけるから。じゃあまた!」
まさか輝姫と美姫が仲間になると言い出すとは思わなかったが、族の結成の経緯や彼女達の思いを聞いていくうちに、彼女達の気持ちの強さを知ることが出来た。
彼女達は決して裏切らない。なぜだかそんな気がしている。
門の前に誰かがいる。それがはっきりと見えた。
「誰だ?」零夜も気付いたようで声を上げる。
「………輝姫と美姫の総長だ。」
門の前に車を止めたその時、やっと門の前に誰がいるのかを理解した。
「俺が行く。」
私は零夜に車で待っているように言って、外へ出た。
「…麗龍の黒蝶ですか…?」
美姫と輝姫の総長が言う。
「…あぁ、俺が黒蝶だ。お前らは、輝姫の琉唯と遥瑠だな。」
何故だろう、こうして対面しているのに一切の闘気を感じない。
むしろ怯えすらを感じる。
「そうです。お名前を覚えていただけていたなんて…光栄です。」
おかしい、何が目的だ?
「…麗龍に何の用だ。」
「…その事ですが実は……」
妙に緊張した面持ちで、琉唯が切り出す。
『麗龍と陽影の、傘下に入れていただけないでしょうか?』
「…は?」
きっと私は今阿呆みたいな顔をしているだろう。でも仕方がない、驚いているのだから。
「私たち輝姫と美姫は元々、不良やチンピラの暴力など被害にあった女の子を助けるために、出来た暴走族です。
まあつまり暴走族というのは名ばかりというわけです。」
「麗龍や陽影と似ているな。」
「そうなんです。私たちの目的は族の名前を全国に知らしめることではなく、女の子達を救うことにあるので、その目的さえ遂行出来ればいいんです。」
「つまり麗龍、陽影と手を組んで力をつけたい。
あわよくば麗龍、陽影の名前を借りることで、地域から少しでも被害が減れば…ってとこか?」
なるほど、考えは把握した。
こんなことを言われたら言い返す言葉はひとつだ。
「……まさにその通りです。無茶苦茶な事を言っているのは承知の上です。それでも…」
「…分かった。手を組もう。」
「…ほ、本当ですか!?」
「…あぁ、でも、もし裏切るような真似をしたら、お前らを潰す。
そのつもりでいろ。まあ、この様子を見てるとそんなことはなさそうだな!」
「…ありがとうございますっ…」
「ところでだけどなんで敬語?同い年じゃなくて?」
麗龍の総長ってだけで敬語を使われるのは、なんだか気が引ける。目上の人でもないのに…
「…え、いいんですか?じゃなくていいの?」
琉唯は控えめにつぶやく。
「いいに決まってるじゃん、手を組むと決まれば、私たちは仲間なんだから。」
「嬉しい…」
遥瑠に至っては若干目に涙を浮かべている。
「感動しすぎだよ〜。
まあそうと決まれば、話は早いな。うちに住むか?」
普段の口調と男口調が混ざったなんとも言えない状態で私は、琉唯と遥瑠に言う。
「…でもやっぱり私たちは関西にいて、地域を守るべきだと思うんです。」
「…確かにそうだな。よし、じゃあ父に掛け合ってみよう。
輝姫と美姫の屋敷を早急に構えることにして、あとは麗龍と陽影から20人ずつ人を貸そう。
それで格段に強くなれるはずだ。」
「……黒蝶…。ありがとう。」
「…あ、本名教えておけばよかったな。私の名前は桐ヶ谷華月。」
「私は輝姫の琉唯。本名は水谷琉唯。」
「私は美姫の遥瑠。藍川遥瑠です。」
「最近までずっと二組は不仲なんだと思ってたよ。不思議なこともあるもんだね。」
「あ、一つだけ言い忘れたことがある。
協定を結ぶからには……麗龍が青竜を攻める時は、必ず手を貸せ。それが条件だ。」
青竜の汚い手に対抗するにはどうしても人数が必要だ。
当然、今の麗龍と陽影だけでは賄いきれない。
私は以前からずっと作戦を立てているのだ。青竜と朱雨を倒すための作戦を…。
「…もちろん。いくらでも貸す。」
輝姫も美姫も想いは同じなようだ。
「じゃあ、決まりだな。近くの旅館予約しておいたから、今日はゆっくりみんなで休んでから帰りなよ。
長旅で疲れたでしょ?
なんなら、三日ぐらい休んでいったらいいんじゃないの?宿代は麗龍が持つから。」
きっと彼女達は総長になってからまともに休んでいないだろう。
パッと見ただけでは分からないが、そこはかとなく疲れていることが伺える。
このような子がこれ以上増えないように、もっと平和な世界になったらいいのに。
「…色々気遣いありがとう。お言葉に甘えて三泊してから帰るね。」
「うん、その間に麗龍の奴らを向かわせとくから心配するな。今はゆっくり休め。」
「あ、え、もう五時だ。
じゃあ私は予定あるから、またね!何かあったら連絡してね、駆けつけるから。じゃあまた!」
まさか輝姫と美姫が仲間になると言い出すとは思わなかったが、族の結成の経緯や彼女達の思いを聞いていくうちに、彼女達の気持ちの強さを知ることが出来た。
彼女達は決して裏切らない。なぜだかそんな気がしている。



