「……はぁ。ところで、今日は輝姫と抗争?せっかく肋治ったのに…。」
昼休み帰りの準備を始めながら零夜に話しかける。


「…どうだろうな。なんかちょっと今回は違うような気がするんだよな。

まあいずれにせよ備えあれば憂いなしって感じだろ。」

荷物を全て詰め終わったであろう零夜は既にリュックを背負っている。

「…面倒だ……。」
私も荷物をまとめ終わったので、私たちは教室を出ていくことにした。

「また華月と零夜くん帰るの?早退今学期何回目?何かあるの?」

案の定美来には不審がられてしまった。

「…俺たち成績優秀だし、いいかなって。」

なんで適当な言い訳を零夜がしてくれたので、私たちは急いで学校を出た。

いつも通り零夜の運転する車で、家に向かう。

「なんでこの時期に輝姫は抗争をもちかけてきたんだろうな?

麗龍と陽影相手に勝てないのは目に見えてるだろうにな。」

「…そうなんだよな、問題はそこだ。」

そうなのだ、零夜の言う通り、このタイミングで抗争を仕掛けるのは輝姫にとってなんのメリットもない。
むしろ負け戦に挑んでいるのと同じだ。

今の全国の暴力団暴走族のランクは麗龍と陽影が一番だというのに、そこに抗争を挑むのは自身の破滅を意味している。

だからこそ今回の輝姫の行動は意味がわからなかった。

一体なんのためにわざわざ麗龍と陽影の地区までやってきたのか、全く考えが読めなかった。