華月は目の色を変えた。さっきとはまるで違う本気の目だ。零夜もすぐにそれを察知した。
しばらくはお互いがお互いの様子を伺っていた。しかしそこで華月が勝負をしかけた。
零夜の身体にあえて突っ込み、前襟を掴んだ。それでも80キロ近い零夜の身体は動かない。完全に華月の考えは読まれていた。
その辺でクラスメイト達が零夜と華月の様子に気がついた。そして誰もがその強さに驚いた。
『甘いんだよ、お前の考えは見え見えだ。』
零夜は余裕だというように華月を煽る。
「…くっ!」華月は悔しそうな顔をした。
そして零夜は華月を投げ飛ばす体制に入る。
『…あっ!』その場に居る誰もが華月の負けを確信しただろう。零夜も自分の勝ちを確信した。
だがしかしその瞬間、華月は笑った。
「これでも?」
そして次の瞬間、零夜を投げ飛ばしたのだった。
零夜はそのまま床に倒れ込んだ。



