「え、今日の一限は柔道?」
同じクラスの後藤くんに教えて貰ったのだけれど、今日の一限の体育は柔道らしい。
私は黒帯だけど、こういう時に下手な振りをするのが苦手だ。
「あぁだるい。やってられない!体育さぼりたい!」
教室に突っ伏しながら私がそう言っていると、零夜が笑いながら話しかけてくる。
「お前下手だもんなぁ〜。笑っちゃうよ。無理してるのがバレバレなんだよ…ふふっ」
買ってきたいちごミルクを片手に私の隣に座る。
「え、何!?華月柔道出来ないの?他のスポーツ得意なのに?」
口元に手を当てながら全力で驚く美来。
「…違うんだよなぁ、今田。こいつ黒帯なんだけどな、下手なふりするのがすげぇ下手なんだよ。無理して下手に見せてるのがバレバレすぎて滑稽だよ。」
別にそんなに酷く言わなくてもいいじゃないか。
「…黒帯!華月ってどのスポーツでも得意なんだねぇ〜さすが〜。」
美来は感心したように頷いている。
「……零夜だって人の事言えないくない?零夜は逆に素を出しすぎ!みんな怖すぎて遠ざかってくよ?」
「…え、零夜も柔道やってたの?」
前の席の涼介が振り返る。
「だって零夜ね、中三の時全国大会で優勝してるから。おかしいって!」
「…零夜くん恐るべし…」
美来に至っては軽く身震いしている。
「零夜完全無欠すぎて怖い。お前できないこととかあるの?」
涼介は零夜に聞く。確かに零夜に苦手なことなんであるのだろうか。
「……ねぇな。」
自慢げに零夜は言う。こういう点で零夜は調子に乗ってると思う。そういうところも零夜の良さだとは思っているけれど。
今日の時間割順に教科書用意しないと、と思っていたら突然零夜が私の顔に近付いてきた。
「…華月。」耳元で囁かれて不覚にもドキッとしてしまった私。絶対これは計算済みに違いない。
「…なに、零夜。」
こうなったら仕返しだとばかりに、私も顔を近づけて囁いてみる。すると意外にも零夜は顔を赤くしている。
「何、零夜赤くなってるの。」私がからかってみると零夜は、「うるせぇ!」と言って私の髪をクシャクシャにする。
そして零夜はスマホの画面を私に向けた。
【零夜さん、やはり輝姫がこちらに向かっているようです。出来れば、午前中で早退していただけますか?】
「…嘘だ。今日は久しぶりに零夜と出かける予定だったのに〜!仕方ない、とっとと片付けよう。今回は私たちだけで良くない?」
せっかくの予定が潰されるのはいつもの事だ、仕方ない。それに格下相手だ、私だけでも倒し切れる。
「…そう、だな。連絡しとく。」
零夜も電話をかけたりメッセージを打ったりと、色々な人に連絡をし始めた。
「あ、もしもし美澪?あ、うん私。あの、情報回ってる?今回は私だけでいけるから、うん。だから、大丈夫。みんなに言っておいてもらえる?そうそう、は〜い。」
私はできるだけワードを出さずに、メンバーのまとめ役のお姉さん、美澪に指示を出した。
お姉さんとは言えども、同い年なのだが。
ふと横を見ると、零夜も電話中だ。
涼介には今回は学校に残ってもらうことにしよう。
「涼介、今回はなしで!」
今ので伝わってくれると信じて、私は合図を送った。
「了解。」
しっかり意図は伝わったようで、涼介は勉強に戻った。
「三人ともどうしたの?」
未来は心底不思議そうにしている。だけど真実を伝える訳にはいかない。
「ん、三人でやってる戦闘ゲームの話。今夜オンライン対戦しようって話してて。」
こんな適当な言い訳で通じるのだろうか。
「なーんだ、それじゃ分からないや。」
どうやら美来にはバレなかったらしい。
同じクラスの後藤くんに教えて貰ったのだけれど、今日の一限の体育は柔道らしい。
私は黒帯だけど、こういう時に下手な振りをするのが苦手だ。
「あぁだるい。やってられない!体育さぼりたい!」
教室に突っ伏しながら私がそう言っていると、零夜が笑いながら話しかけてくる。
「お前下手だもんなぁ〜。笑っちゃうよ。無理してるのがバレバレなんだよ…ふふっ」
買ってきたいちごミルクを片手に私の隣に座る。
「え、何!?華月柔道出来ないの?他のスポーツ得意なのに?」
口元に手を当てながら全力で驚く美来。
「…違うんだよなぁ、今田。こいつ黒帯なんだけどな、下手なふりするのがすげぇ下手なんだよ。無理して下手に見せてるのがバレバレすぎて滑稽だよ。」
別にそんなに酷く言わなくてもいいじゃないか。
「…黒帯!華月ってどのスポーツでも得意なんだねぇ〜さすが〜。」
美来は感心したように頷いている。
「……零夜だって人の事言えないくない?零夜は逆に素を出しすぎ!みんな怖すぎて遠ざかってくよ?」
「…え、零夜も柔道やってたの?」
前の席の涼介が振り返る。
「だって零夜ね、中三の時全国大会で優勝してるから。おかしいって!」
「…零夜くん恐るべし…」
美来に至っては軽く身震いしている。
「零夜完全無欠すぎて怖い。お前できないこととかあるの?」
涼介は零夜に聞く。確かに零夜に苦手なことなんであるのだろうか。
「……ねぇな。」
自慢げに零夜は言う。こういう点で零夜は調子に乗ってると思う。そういうところも零夜の良さだとは思っているけれど。
今日の時間割順に教科書用意しないと、と思っていたら突然零夜が私の顔に近付いてきた。
「…華月。」耳元で囁かれて不覚にもドキッとしてしまった私。絶対これは計算済みに違いない。
「…なに、零夜。」
こうなったら仕返しだとばかりに、私も顔を近づけて囁いてみる。すると意外にも零夜は顔を赤くしている。
「何、零夜赤くなってるの。」私がからかってみると零夜は、「うるせぇ!」と言って私の髪をクシャクシャにする。
そして零夜はスマホの画面を私に向けた。
【零夜さん、やはり輝姫がこちらに向かっているようです。出来れば、午前中で早退していただけますか?】
「…嘘だ。今日は久しぶりに零夜と出かける予定だったのに〜!仕方ない、とっとと片付けよう。今回は私たちだけで良くない?」
せっかくの予定が潰されるのはいつもの事だ、仕方ない。それに格下相手だ、私だけでも倒し切れる。
「…そう、だな。連絡しとく。」
零夜も電話をかけたりメッセージを打ったりと、色々な人に連絡をし始めた。
「あ、もしもし美澪?あ、うん私。あの、情報回ってる?今回は私だけでいけるから、うん。だから、大丈夫。みんなに言っておいてもらえる?そうそう、は〜い。」
私はできるだけワードを出さずに、メンバーのまとめ役のお姉さん、美澪に指示を出した。
お姉さんとは言えども、同い年なのだが。
ふと横を見ると、零夜も電話中だ。
涼介には今回は学校に残ってもらうことにしよう。
「涼介、今回はなしで!」
今ので伝わってくれると信じて、私は合図を送った。
「了解。」
しっかり意図は伝わったようで、涼介は勉強に戻った。
「三人ともどうしたの?」
未来は心底不思議そうにしている。だけど真実を伝える訳にはいかない。
「ん、三人でやってる戦闘ゲームの話。今夜オンライン対戦しようって話してて。」
こんな適当な言い訳で通じるのだろうか。
「なーんだ、それじゃ分からないや。」
どうやら美来にはバレなかったらしい。



