幹部達も組員が運転する車に乗り込んだ。

私たちは罪をおかさない。そう言った通り、高校生の幹部はバイクには乗れない。

それは族の人達も同じだ。だから私たちは車を使う。

幹部達も全員乗り込んだところで、私達も車へ向かう。

「華月、お前骨折れてるだろ。無理すんな。」
零夜は悲しそうに私に言った。

「え、折れてないけど。」

「嘘だ。庇ってるのバレバレなんだよ、無理するな、ほらっ…」
零夜は突然私を抱き抱えた。
またあの悲しそうな声だ。

きっとあの時私が目を覚まさなかったから、あの時からずっと零夜は私が傷つくのが怖いんだ。

「…ちょっと!零夜?何してるの?下ろしてよ。」
突然の出来事に私は焦りを隠せない。

「何言ってるんだ。お前が怪我してるのに放っておけるわけないだろ。怪我した時ぐらい甘えろよ、華月。」
優しく微笑むと零夜は車に向かって歩き出した。

「恥ずかしいって…。」
いくら零夜でもお姫様抱っこされるのはさすがに恥ずかしい。

「誰もいねぇって。大丈夫だから。それに俺は未来の旦那だろ。」

「何突然恥ずかしい事言ってるの…」
急にそんなこと言われたら私だって、照れる。

「いや別に…ていうか、早く帰るぞ。早く帰ってみんなで晩飯食おう。」
こういう時の零夜の笑顔、私は大好きだ。

「うん…」

こうして私たちは公園を後にした。