「集まったか?」見渡す限りでは全員揃っているように見受けられる。突然呼び出しをしたから、制服の人もいれば部屋着の人もいる。
「はい!」
「今日から新しい幹部が入る。涼介。」零夜は涼介を前に出した。
「こんにちは。今日から陽影に入った萩野涼介です。足を引っ張らないように頑張ります。」
涼介は幹部の前で丁寧にお辞儀をした。
「こいつ大丈夫か?随分弱そうだぞ。」
修也は鼻で笑う勢いだ、さすがに可哀想だと笑みがこぼれる。
「修也可哀想でしょ!新入りなんだから、優しくしてあげないと!
まあそれにしても痩せすぎだね。」
愛佳も十分馬鹿にしてると思うのは私だけだろうか。
「弱そうだけど幹部でいいのか、華月。
骨みてぇだぞ。」広翔にまで散々な言われようだ。
「実力試しをしたんだけど、彼の拳が1発俺に当たった。舐めに舐めまくっていたとはいえ、俺に一発当てることがすごいってことはわかるだろ?」
「俺……まだ1発も当てたことないのに…」
そうつぶやく健二があまりにも落ち込んでいる様子で、なんだか微笑ましい。
「『まだ親父にもぶたれたことないのに!』みたいな感じで言わないで、健二?」
渾身のギャグを炸裂させた守だが、そのギャグで誰も笑うことは無い。
「別にそんなつもりは…」
健二は多少冷めた目で守を見ていた。これはいつもの事だ。
「守の会話のセンスのなさ……ぷっ」
そうして美波がわざと笑ってみせると…
「美波さんまで酷い!」と守は拗ねてしまった。
いいと思う、私は守のそういうところが好きだ。こういうとこも守の良さだと思う。
「守。」
「なんですか、総長。」
「私は守のそういうとこ好きだよ。」
素直に私は彼への思いを口にした。偽りのない心からの笑顔で。
「総長〜!そんなこと言ったら俺総長に惚れちゃいますよ!?
まあ惚れないんですけど!」
「また無自覚来たわ…」
「男にとっては拷問だよな」
「これだから無自覚は…
しかも俺じゃなくて私に戻ってるとこが尚更…」
「俺も姉ちゃんのそういうとこにはお手上げだわ。」
「変な虫が寄り付かないか心配…」
「1人だけ違うとこ心配してる…」
「まぁ、華月に寄り付こうとしたやつは、俺が体育倉庫に監禁するけどな!」
「…零夜さん、さすがっす。」
「みんなして何訳の分からないこと言ってるの?」
また素の自分に戻ってしまったようだ。
みんなといるとつい気が抜けてしまうから気をつけないと。
「とにかく涼介と仲良くな。新入りだからと甘やかさずにどんどん口出ししろ!」
「おう!」



