『これから陽影の幹部と話をする。幹部以上のものはすぐに蔵へ集まれ。族員、組員は鍛錬を怠るな。以上』

自分の部屋にあるスピーカーで屋敷内に全館放送する。

このシステムは便利で気に入っている。


放送の直後コンコンッと部屋がノックされた。
私の部屋に用があるなんて珍しい、誰だろう。

「はい。」

返事をすると、入ってきたのは父だった。

「華月〜!お父さんは最近華月と食事出来てなくて寂しいよ〜。」

「そうかな?1週間前にしたよ?」

「えぇー!それは最近してないって言うんだよ!」

「はいはい、分かったよ、零夜にも言っとく。」

「やった〜〜!五つ星レストランのシェフ呼んでこよ〜!!」

と父はハイテンションで私の部屋を出ていった。

もしかして、暴走族の総長の父親は全員娘を溺愛しているのかもしれない。

あの日、私は大切な人を二人失った。父も最愛の人を亡くした。だからきっと父は必要以上に私に依存している。本人は無自覚だろうけれど、そんな父の頼み事は断れるはずない。
今日の食事会も楽しみだ。