その日の放課後、彼は遅刻してきた。

「4時1分。1分経った。遅刻だ。」
彼は息を切らしながら走ってきた。

「すまない、零夜、華月。」
遅刻は許されない、どんな理由があっても許されない。彼の覚悟はやはりまだまだ甘い。

「遅い。遅刻するなんて有り得ない。時間ぐらい把握しとけ。」

優しくすることが彼のためにならないと思った私は、あえて彼に強く当たることにした。




「麗龍の幹部は……」

「陽影は…」と族の説明をしている間に、家に着いた。


「ここが陽影の家な。」零夜は門を開けながら言った。

「でけ〜。てか麗龍と屋敷隣なんだ。」

「あぁ。私たちの族は同盟を組んでるからな。ちなみに、私と零夜は結婚が決まっている。」

「すげぇ。やっぱりこういう世界だと、そういうこともあるんだな。」

「そうだな。結婚って実感わかないけどな…」
気恥しそうに頬を手で掻きながら、零夜は口にする。実感がわかないのは零夜も同じらしい。

「おかえり〜!」迎えたのは可愛らしい見た目の愛佳。

涼介は少し顔を赤く染めていた。
あんなに可愛い子が家にいたら、幸せだろう。

本性を知った時の顔を見るのが楽しみだ。

「じゃあお前に屋敷案内するから。華月、後で幹部室でな。」

「おう、待ってる。」