その週末──。

「よし行ってこい!」

私の掛け声で抗争に行く族員は全員バイクに乗り出発した。

近頃の夕方は風が冷たい、特攻服なんて薄着じゃ風邪をひきそうだ。

「無事に帰ってこいよ…」
そう呟きながら、私は胸のタトゥーを撫でた。


麗龍と陽影は1代目の総長から胸にタトゥーを入れていて、それは幹部も同じだ。

一生消すことの出来ないタトゥーを入れることで、幹部や総長になるということの責任の重さを感じるためだ。

ちなみに2組とも主なモチーフは龍。
それにみんなの通り名のモチーフが書いてある。

例えば私は黒蝶だから、龍に加えて黒い蝶が羽ばたいているとこが描かれている。

零夜は2匹の龍が書かれていて、そのうち1匹は天へ向かっている様子が描かれている。

それは昇龍であることに由来している。

抗争の時に着る特攻服は、幹部と総長のものだけ胸元が少し空いている。

それが私たちの組の幹部及び総長であることの証だ。

そのタトゥーの美しさに思わず目を惹かれる者も多いという。
私たちの族の名前には麗という字が入っている理由もそれに由来する。