闇の夜に咲く、一輪の華

「走れ!」華月は叫んだ。
同時に皆が一目散に外へ向かって駆け出す。

だが入口のドアがあかず、苦戦しているようだ。

「…うぉ!」
零夜がドアに蹴りをいれた。ドアは簡単に破壊され、皆んなが外へ飛び出した。

「…ってぇ。」
零夜はお腹を抑えている、今ので傷口が多少開いたに違いない。

「ね、ねぇ、外に出たけどこれからどうするの…?」佐藤さんは今でも震えている。

「そ、そうだよな、車のキーを奪ったって誰も運転できないだろ。」
吉田も汗をかいている、よっぽど緊張状態にあるのだろう。

「…大丈夫、私と零夜が運転する。」

『…は?』
皆は目を丸くする、それもそうだろう、突然同い年の同級生が車を運転するなんて言い出したから。

「…今事情を話している場合じゃない、とりあえず乗るよ、鈴木さん、羽鳥、佐々木。今すぐこの車に乗って。」

「よし、残りのやつも俺に着いてこい。」

敵の残党が倉庫から飛び出してくる頃、私たちはエンジンをかけ倉庫を後にした。