闇の夜に咲く、一輪の華

「さすがにそれは無理だと思って考えてある。

九時半に消灯、消灯前に見回りがあるけど女子フロアはもう済んでる。
たぶん十分後ぐらいにこの男子フロアにも来ると思う。

その間私はさっきみたいにクローゼットに入ってるから、まずそれを済ます。

そして、十時から先生たちは職員会議がある、となると五十分前後は先生たちもバタバタするはずなの。

でも見回りには一人はいるはず。

それら全てをくぐり抜けるには、五十分にこの部屋を出て非常階段に向かう、そのまま三階分下がったら美来に連絡を取る。

そしたら美来が部屋のドアを開けて待ってるから、そのまま非常階段から部屋に入る。

私たちの部屋は見回りの先生がいるところから最も遠い位置にある。先生の隙を見れば十分侵入は可能だと思う。

一番の難所はこの男子フロアをどうくぐり抜けるか、なんだけどそこはとある人に騒ぐよう言ってあるから、そこに気を取られてるうちに急いで非常階段に向かって。」

「……なんかの作戦?」

そう涼介に言われるのも無理はない。くだらないことで先生に怒られたくないから、ここまで綿密に計画を練っているのだ。

「…とりあえず美来に連絡取りつつ頑張ってみる。俺も美来に話したいことあるし。」

「よろしく。ありがとう。」


そこから二十分後、涼介は無事に美来の部屋に辿り着いたようだった。