離陸はあんなに騒いでいたくせに何も無いまま着陸し、今は空港で検査を終えた。

今はまだ終えていないクラスを待っている。
適当に二列に並び、みんながそれぞれ談笑しているようだ。

「さっきから拗ねてるけどなに?」
明らかに不機嫌そうになりながら、私の方を見つめている零夜。

「だって……なんであんなに羽鳥と仲良さそうなんだよ…手も繋いでただろ?なんで俺のなのに…」
180cm後半のイケメンがこんなに可愛く嫉妬している姿を誰が想像しただろう?

「別に仲良くしてないからね。離陸が怖いから袖掴んでいいよって言っただけ。あと健人と仲良くなればって話をしたの。」

「そう?まあいいや、華月は俺にベタ惚れだもんな。」
みんながいる中サラッととんでもないことを言うもんだから、本当に油断出来ない。

「…馬鹿。みんなに聞こえたらどうするの。」

「…ん、何。」
私が照れてる隙に零夜は視界から消えた、と同時に背中に暖かさを感じる。
まさか…バックハグされてる?

「何してるの。離して。」
さすがにみんながいる中こんなことをされるのは耐えられない。視線を向けられる前に離れなければ…。

「え、嫌だよ。」

「離せ。」
空気を読めない零夜にイライラして思わず総長モードで言ってしまった。
それを感じ取ったのか、零夜は急いで私から離れた。

「…ごめん、そんなに怒るとは……。」

「ごめん、動揺して…。…夜……。なんでもない。」

「…夜?何、夜がどうした?」

「別になんでもない。」
夜、零夜の部屋に行く、なんてそんなこと言えるわけない。
恥ずかしいし、そんなこと言ったら零夜がどんな反応をするか分からない。