ーガラガラガラー教室の扉が開く。

ドアの開く音にみんなが振り向くのはいつもの事だが、やはり今日はいつもとは違った。

「月城くんと桐ヶ谷さんの間にいるの誰?あんな人いたっけ?」

「え、なにあのイケメン!うちのクラスの人じゃないよね?」

「見ろよ、あいつ超イケメンじゃね?」
そんな声が続々と聞こえてくる。本人を目の前にしてもやっぱり気づかないものなのか。

「健人〜、今日の放課後俺の部屋でゲームしようぜ。」
きっと零夜がわざと大きい声で言ったのはこの人が健人だと皆にアピールするため。

「え、健人?健人って、飯田?」

「なわけなくね?あいつってもっと芋くさいだろ。」
そういったのはクラスのお調子者羽鳥。でも私は知っている……。

「おい飯田!」クラスでも派手なグループの一員が大きな声を上げる。

「…はい!」健人はほぼ反射で返事をした。

「まじか、あいつ本当に飯田かよ、イケメンじゃねぇか、くそ。」そう言って彼は椅子を蹴飛ばした。その様子に健人は肩を震わせている。

「え〜、私狙っちゃおうかな〜。」
なんて声まで聞こえてくるけど、きっと健人の頭にはお菓子しかない。


見た目だけで人を判断して、笑ったりする人間が私は大嫌いだ。
もし今後も健人になにかしてくる人がいたら、誰彼構わず反撃に出るつもりでもある。