ガラガラガラッ。また扉が開いた音がした。

「健人です。零夜、華月、ご飯持ってきたよ。」
健人は大量のお弁当を両手に抱えている。

「お!健人ナイス!」

「病院食じゃ栄養足りないと思って、早起きして作ってみたよ。それより零夜は体調大丈夫?」

「ん?あぁ、まだ完全に傷が塞がってねぇからあと二日は入院で、そこからは学校行こうと思ってる。」

「そんなに急に復帰して大丈夫なの?」
健人の顔は若干青ざめている。
それもそうだろう、あれだけの重症を負った人間が、あと二日で退院して学校に行こうとしているのだから。

「大丈夫じゃね?いざとなればみんないるし。

てかお前に謝らなきゃならねぇわ。
三連休の後、抗争だなんだ、っていって終いには俺がこんな状況になったから、せっかくイメチェンしたのに、一回も学校行けてねぇよな。」

確かになんだかんだいって、健人は一週間以上は学校を休んでしまっているような気がする。


「そんなことは気にしないで。
勉強なら美波さんが厳しく厳しく教えてくれてるから。
それに俺は華月と零夜がいないと学校いけないし…」

「美波は医者だもんな。
あと二日待ってくれ、金曜からは学校行くから。」

零夜は申し訳なさそうにそう言うが、口の中は健人が作ってくれたお弁当でいっぱいだ。


「え!?そうなの!俺知らなかった……。
ってもうこんな時間だ!
美波さんに怒られるから俺帰るね!

また作って欲しいものあったら、連絡して!」
そういうとあっという間に健人は帰ってしまった。


「華月、この弁当まじでうまい!
早く食べようぜ?」

口の周りにソースをつけながら、目を輝かせて言う零夜。そんなに美味しいのか?

零夜は時々子供みたいになる。

「うん、確かにすごい美味しい。」
一口食べた途端笑みがこぼれたのは言うまでもない。