「…今更だけどさ、ごめん。謝って済まないのは分かってる。

私が朝日さんを殺したって言ってもいい。

あの日、私がいたから朝日さんは麗龍の屋敷に来た。

私さえ、私さえいなければ、朝日さんは死ななかったかもしれない。
私が零夜からお兄ちゃんを奪ってしまった…。

私は朝日さんもお母さんも殺した…。」

いつの間にか零夜の背中を拭く手が止まっていた。

「…馬鹿かお前は!……痛っ。」
傷口を押さえながら零夜はこちらへ向き直る。

「そんなこと一回も思ったことねぇよ!
兄ちゃんは陽影組長として、人を守って死んだ。
それだけだ。
兄ちゃんだって、寿命までは生きられないことは分かってたはずだ。

あんなに早いとは思ってなかっただろうけど、毎日いつ死んでもいいように悔いのない人生を送ってたし、何より兄ちゃんは華月を実の妹のように可愛がってただろ?

最期に救ったのが妹でよかったじゃないか…。」


零夜が、私が言ったような酷いことを思ってないことは十分過ぎるほどわかっていた。
でも謝らずにはいられなかった、直接的ではなくとも、結果として私は朝日さんの死に関与したことには変わりない。


だからこそ、もうこれ以上私のせいで誰かが死んで欲しくない。
自分の仲間も守れない奴に総長の資格なんてない。