『ごめんね〜!』という声と同時に扉が開いた。

『あ、私主治医の桐ヶ谷美華です!華月の再従兄弟だよ〜!』

私たちはすぐさま体を離した。

「美華さん。お久しぶりです。」
いきなり立ち上がったからか、目眩がした。

「華月!久しぶり〜!

ねぇ、華月絶対ずっと寝てないでしょ?

ついでに言うとこの3日間何も食べてないわね?死ぬ気なの?

顔真っ青だし、さっきもふらついてたわね。」

「…おい嘘だろ華月!」
零夜も目を丸くしている。


「……だって、私が零夜を傷付けたのに、自分だけ呑気に食事したり、お風呂入ったり、寝たりしていいのかなって…

それに、私がそうしてる間に零夜が目覚めたらどうしようって考えたら、何も出来なかった。」


「…はぁ、まったくもう!零夜は本当にいい彼女を持ったわね!

とりあえず点滴してあげるから、その前にシャワー浴びてきなさい。

そしたら零夜の体も拭いてあげて。

そしたら今度は食事運んでくるから。」

美華さんは、零夜のバイタルサインをチェックした後、早々に部屋を出ていこうとする。

「…あ、入ってきたのが私だったから良かったけど、ここは一応病院ってこと忘れないでね?…ふふっ!」

そうやってにこにこしながら言うと、手を振って病室を出ていってしまった。


「……見られてたか…。」零夜は耳を真っ赤にしながら呟く。

「…私シャワー浴びてくるからちょっと待ってて。」

「おう、ゆっくり浴びてこい。

ここ三日全く何もしてねぇんだろ?

さっぱりしてこいよ。
あとは何も食ってねぇし寝てねぇなら立ちくらみに気を付けろ。」


「…うん、ありがとう。」
静脈が切断されるほどの深い傷を負って手術まで必要なほどの大怪我をしたのに、零夜はこんな時でも私を一番に考えてくれている。

こんな優しさに私は今まで気付くことが出来なかったなんて、なんて冷たい人間なんだろう。

とりあえず、零夜が目覚めたことに安心しながら、シャワーを浴びた。