「…れ、零夜はっ!?」
救急センターの入口から夏希さんがやってくる。
彼女の綺麗な顔はもう涙でぐちゃぐちゃだ。

夏希さんは私を見るなりそばに駆け寄ってくる。

「華月ちゃん!零夜は?」
私はもう夏希さんの顔を見るのさえ辛かった。
また私は人を傷つけた。

「……抗争は無事に終わりました。
でもその後突然現れた青竜の人間に刺されて…今は手術中です。」

「…あぁ!そんなっ……。」
息子を二人とも失うなんて、きっと夏希さんは耐えられない。私だって、耐えられない。



「…私がもっと周りを見ていれば良かった。

また…また零夜を傷付けた。
私は…夏希さんと晴風さんから、二人とも…。」

こんなにも悲しいのに、こんなにも苦しいのにどうして涙は出ないんだろう……。
泣きたくても泣けない、だから余計に辛い。


「…華月、それは違う。君のせいじゃない。この世界で生きていたら危険はつきものだ。
たまたま零夜が刺されただけ。それだけだ。」

「…本当はずっと、零夜のことが大好きでした。」