「…華月落ち着いて聞いて。
絶対に取り乱さないこと、わかった?
幸い切断されたのが静脈だったから良かったけど、それでも太い血管が切断されてる。
それに血が止まらない。このまま処置が遅れたら最悪のケースもあるということを想定しておいて。
おそらく運ばれるのは友成会病院だろうけど、輸血が足りなくなるだろうから、さっきの判断は良かった。
私は医師だから救急車に同乗するけど、華月は琉弥さんと一緒に車で来なさい。
それまでに覚悟を決めておいて。」
処置を続けながら淡々と告げられる事実。
最悪のケースって、零夜が死ぬってこと?
そんなの絶対に嫌だ。
零夜がいなければ、私は生きていけない。
それに最期があんな会話だなんて嫌だ。
こんなに怖いのに、涙は一滴も出なかった。
そんな自分が可笑しくて笑いさえ込み上げてくる。
一番大切な人がこんなにも傷付いているのに、私は涙一滴すら流せないのか。
私はあの日から感情が死んでしまったように思う。
特に、悲しい、という感情。
母親か死んだあの日から、心の底から泣いたという経験は一回もない。
感情を殺すのが癖になってしまったせいか、泣きたくても泣けない。
病院についてから、美波はその病院の医師に引き継ぎをしていた。
私たちは輸血に必要な分の血液を用意するために、一人一人交代で献血をする。
絶対に取り乱さないこと、わかった?
幸い切断されたのが静脈だったから良かったけど、それでも太い血管が切断されてる。
それに血が止まらない。このまま処置が遅れたら最悪のケースもあるということを想定しておいて。
おそらく運ばれるのは友成会病院だろうけど、輸血が足りなくなるだろうから、さっきの判断は良かった。
私は医師だから救急車に同乗するけど、華月は琉弥さんと一緒に車で来なさい。
それまでに覚悟を決めておいて。」
処置を続けながら淡々と告げられる事実。
最悪のケースって、零夜が死ぬってこと?
そんなの絶対に嫌だ。
零夜がいなければ、私は生きていけない。
それに最期があんな会話だなんて嫌だ。
こんなに怖いのに、涙は一滴も出なかった。
そんな自分が可笑しくて笑いさえ込み上げてくる。
一番大切な人がこんなにも傷付いているのに、私は涙一滴すら流せないのか。
私はあの日から感情が死んでしまったように思う。
特に、悲しい、という感情。
母親か死んだあの日から、心の底から泣いたという経験は一回もない。
感情を殺すのが癖になってしまったせいか、泣きたくても泣けない。
病院についてから、美波はその病院の医師に引き継ぎをしていた。
私たちは輸血に必要な分の血液を用意するために、一人一人交代で献血をする。



