作戦を完全に読めていた今回の抗争は、あっけなく終結した。
慎二は思ったよりも早く総長を倒した。
怪我人もほとんど出ないまま、抗争を終えることが出来た。

火神、力龍の奴らが警察に連行され、校庭には麗龍と陽影だけが残った。
上の階からは拍手が聞こえる。

私は零夜を探して辺りを見渡したけれど、どこにもいない。

「…どこいったんだろう…。」
先日あんな感じで会話が終わってしまったから気まずいけれど、それでもこうして平和に抗争が解決できたことは嬉しい。

校舎裏の方から仮面を被った一人の男の人が歩いてくる。零夜だということはすぐにわかった。











声が聞こえるぐらいの距離になった時、零夜の目の前に突然全身黒ずくめの男が現れた。
そして、零夜はその場に倒れ込んだ。

私は一瞬何が起きたか分からなかった。
しかし次の瞬間に理解した。
白の特攻服がみるみるうちに赤黒く染まっていく。
血だ。


突然視界がぼやけた、平衡感覚が失われ、上と下の区別がつかない。
耳鳴りがして、冷や汗が背中を伝う。
倒れる、私はそう覚悟した。



「華月!何してるの!こういう時こそしっかりしなさい!」
突然後ろから美波に叫ばれ、私は我に返った。

そうだ、こういう時こそ冷静でいなくてどうする。
お母さんが死んだ?そんなの関係ない。
私は今零夜を救わなければならない。

もう既に状況を理解した美波は処置を始めている。

騒ぎを聞きつけて寄ってきた人達に次々に指示を出す。