華月と零夜はいつも通り学校へ登校した。
今日に限っては仮面を持ち込んでいる、なんておそらくこの学校の誰も想像していないだろう。

椿高校に通う麗龍と陽影メンバーの全員が普段より緊張した面持ちだ。

いつ、敵が襲撃してくるか分からない。
1秒たりとも気を抜けなかった。

三時間目、華月と零夜そして涼介のクラスで数学をやっている最中にとうとうその時が来た。

窓側の席であった華月は常に校庭を気にしていたが、黒い服を来た人物が現れたことで存在に気づいたのだ。

華月から遅れて2秒ほど、零夜も気づいたようだった。

零夜は手を上げる。
「先生、涼介が腹痛てぇみたいなんで、保健室連れていきます。」
自然に涼介に合図をし教室を去る。

一方華月は、元から空いていた窓に目を向け、カーテンを閉めるふりをして素早く1階に飛び降りる。
おそらく、華月がいなくなったことにみんなが気づくのは少しあとだろう。

華月は校庭の花壇に置いておいた特攻服に着替え、お面をつける。
零夜と涼介も廊下を駆けながら、特攻服に着替える。廊下にはメンバーたちの姿もある。

いち早く現場に駆けつけた華月は、学校外に待機していた他の学校のメンバーに合図を送った。

ちょうどその頃、校舎内では、校庭に現れた黒ずくめの人々の存在に生徒たちが動揺しているところだった。

窓際にはたくさんの生徒が集まり、もはやどのクラスでも授業どころではない。

先生たちはそんな生徒たちを落ち着かせながら自分の置かれた状況を整理してるように見受けれる。

この学校で今の状況を正確に理解出来ているのは、作戦に参加している麗龍と火影だけだ。

そしてついに校庭には300人程の敵全員が集合した。
それと同時に、麗龍と陽影も全員が集合する。


なんの合図もないまま、でも一斉に皆が闘いを始めた。
麗龍と陽影の精鋭メンバーは次々に敵を倒していく。


一歩遅れて美来も到着した。美来は今までにないほど怖い顔をして、敵を見つめている。
緊張、恐怖、憎しみ、これらが混ざりあったような表情だ。

美来は目の前の敵の鳩尾にパンチをした。
そして1人目の敵を倒したが、油断は禁物だと気を引き締める。

華月は今回、総長に手出しをするつもりはなかった。
それは零夜も同様だった。
今回火神の総長は慎二に倒させる。


やはり想像していたとおり、火神と力龍の強さは大したことではなかった。
これも麗龍と陽影の作戦が上手くいったからだろう。
敵も作戦を読まれていたことに驚き困惑しているようだ。

わずか15分でほとんどの敵が校庭に倒れているという状況になった。

その頃、慎二は総長翠光の元に向かっていた。