車内に重い空気が流れ、沈黙のまま家に着いた。


もう、先生は私を抱きしめてはくれない。


もう助けに来てはくれないんだ。




車から一歩ずつゆっくりと離れる私に先生が言う。


「矢沢!!なんかあったら、電話しろ!そのときはすぐに来るから。俺、お前のスーパーマンだからな・・」

そう言って、無理して笑顔を作った先生に、私も精一杯の笑顔で答えた。




それから、なぜだか涙が出なかった。


先生の方が辛いんだ・・って気付いた。


先生が最近元気なかったことを思い出す。

先生は一人で悩んでたんだ。

私がただ嬉しくて浮かれていた日々を先生は一人で苦しんでいたんだと気付く。




何も相談してくれないまま、結論だけ言われた私は

先生に、『子供だ』って言われてるような気がした。