お父さんはまだ帰ってきていなかった。
お母さんは、何のことだかわからないという表情で座ってた。
「あの・・教師の僕がこんなことを言うのは、おかしいことだと思うんですが・・直さんのことが、好きになりまして・・」
こんな先生初めて・・。
がちがちに固まってる先生・・かわいい~~!!
「あらあら・・こんな子で良ければ、嫁にもらってくださいな・・」
訳のわからないことを言い出すお母さん。
「お母さん!!」
私はお母さんを睨んでみる。
「冗談よ・・私はね、最初に先生に会ったときから、先生を信頼してるの。直の悩みや苦しみを必死で理解しようとしてくれる先生を見ていて、この人の言うことは本当だって思えた。今まで、たくさんの先生達と話してきたけど・・私は、人を見る目だけはあるの。」
お母さんは、私と先生の顔を交互に見た。
「お母さん・・・」
私は嬉しくて涙が溢れそうになった。
「そんなお言葉を頂けるなんて・・僕は、そんなこと言ってもらえるような教師じゃないです。実際、生徒である直さんと恋愛関係になってしまって、本当に申し訳ないです。」
先生は、正座したまま真剣に話す。
「今日、お父さん遅いからまた今度来て、話してもらえる?お父さんには、それとなく彼氏ができたって言っておくわ。急に聞くと、びっくりするからね。」
先生は、まだカチコチに固まったまま、頭を下げる。