椅子から立ち上がろうとした瞬間、先生の机に置いてあったオレンジジュースの缶に手が当たった。


あ!!!!


先生の机にオレンジ色の液体が・・・!!


「あぁ!!先生、ごめんなさい・・こぼしちゃった。」

先生は、ドジな私に怒るどころか、眉毛を少し下げて大笑いしてる。


「お前、ほんとにおっちょこちょい・・飽きね~ヤツ!」


女の子が好きな人から言われて嬉しいセリフ、NO.5に入るであろう言葉。



・・・『お前、飽きないヤツ』



オレンジジュースをティッシュで拭きながら、まだ笑ってる先生の背中に抱きつきたいって思った。


「あぁ~あ・・マウスの中にも、入ってるよ・・オレンジジュース・・」

先生は、さっき私が勝手に裏のフタを開けたマウスを見てる。


やばい!!!!

こんなに早く、見られちゃうなんて!!!


絶対バレる!!

どうしよ・・


私が卒業して何年かしてから、ふと気付いて私の事思い出してもらいたかったんだ。


それなのにぃ・・・!!!!


「大丈夫だよ・・先生・・な、中には入ってないって!!」

必死の抵抗も空しく、先生はマウスの中から丸いボールを取り出した。

真っ赤になってうつむく私に、先生は・・


「どした??怒ってないよ。ジュースくらい、俺もよくこぼすしな。」


そんな優しい言葉をくれる。

私の顔覗きこみながら、先生はボールを拭き拭き・・


あ・・!!


先生、見ないで戻してる!?

何も言わないとこ見たら・・絶対見てないよね??


私のコト、心配してくれてこっち見てたから先生気付いてない。


ホッ・・・


安心したはずなんだけど・・・少しだけ、ガッカリしてる私もいた。