どんどん暗くなる私の表情を見て、ゆかりは必死に話題を変えようとしてくれたけど、ここまで聞いて先を聞かないわけにもいかない。

「それで?」

「新垣が、たまたま電車通勤してる日に、一緒に後ろからついて行ったんだ。」

「え?さっちゃんも一緒に?」

「うん。なんか面白半分でさ。でも、新垣の家の近くのコンビニで彼女と待ち合わせしてたのを見て、友達泣いちゃうし、大変だった。」


・・・・・・・

・・・・・・・


廊下の窓から、夏とは思えない涼しい風が入ってくる。




彼女いるだろうって思ってた。


車の助手席のクッションで、彼女の存在は私の中でどんどん大きくなってた。



でも・・なんでだろ・・

実際にこうして本当に彼女の話聞いちゃうと・・・


涙が・・出そうに・・・



やば・・泣いちゃいそう・・



「直、ちょっとトイレ!!」

私の異変に気付いたゆかりは、さっと私の手を引いてトイレへ連れて行ってくれた。


周りのみんなにも変に思われないくらいの、自然な演技で・・。

「ゆかりぃ・・・やだよ・・・」

ゆかりの胸で、我慢できなくなった涙が次から次へと溢れる。

「よしよし・・。直は、先生を好きでいたいんでしょ?じゃあ、彼女がいてもいなくても関係ないよ。しかも、1年の頃の話じゃん。絶対別れてるよ!!」

何の根拠もないゆかりのその言葉に、私は救われた。

そっか・・別れてるかもしれない。