ウーリューウ藩島に 間もなく
長い夜が明ける。

日が登ると共に、藩島を
遠巻きに囲む 魔獣海馬は
進軍してくる。

海沿いの街道を防波堤に
若しもの土煙が確認されれば、
元英雄が、ギルドの長、
ラジは副長レサと
出陣せんと、
海を遠視していて、

大聖堂の礼拝天井の下では、
全ての結界組み換え作業を
終えたザードとヤオが
肩を寄せ、
ハーバナも そのまま
眠っていしまい、

虚空のドゥワネイはドケエモンと
『術』を全て剥がした
疲れで、あろうことか
攻撃を受けなくなった
守護ドームの上で 休んでいた。

ドームの中から聞こえる、
鐘と祈りの声を
聞きながら。

『ダー゙ーゴ゙ラーーーン..ダ゙ゴ゙ラーーーン..ゴガラーーーンカガラーー...』


その真っ白な魔力爆発は
突然起きて、

ラボで瞑想する
青少年姿の大師を吹っ飛ばした!


『ダー゙ ーゴ゙ラーーーン..ダ゙ゴ゙ラーーーン..ゴガラーーーンカガラーー...』



地下の獄卒宮には、
月明かりさえ届かない。

けれど意識を飛ばした末に、
マイケルは鳥の声を聞いた。

もう 逝く時間だと告げる鳥の声を

朦朧とした意識の中で

テュルクが繋がったまま
自分の両の指を絡められ、
腹に口付けを落とされているのが
解った。

回帰の口付け。

ルークの額が 子宮に乗せられると
そこに 鮮やかな陣のような
紋章がマイケルが腹に浮き出て
「聖紋」刻まれた。

その紋が どんどん光を増して
拡大する。
周りが白銀のエネルギーに
みるみる呑まれる間

「 一生に一度しか授けれない
王族の紋章だ。子種の受胎と共に
成して、その子に権威を
授ける印になり、
乞うた破瓜への宮を己が形
変えたと 独占する意として 。」

マイケルは、そのルークの声を
そして、テュルクの髪と眼が
無限魔力の銀から、漆黒へ
変化するのを

聞きながら、

鐘に祈りの声って
まるでbrideだねって、
マイケルはテュルクに笑うと

魂の高みへと そのまま逝った。

『ダー゙ ーゴ゙ラーーーン..ダ゙ゴ゙ラーーーン..ゴガラーーーンカガラーー...』

鐘と祈りの声が聞こえる。

マイケルの宮が紋が
膨大な力となって空水結界魔法
が起動。

大地を揺るがす轟音と共に、
藩島地下より海底火山の噴出。

その湯柱を梯子に、
ウーリューウ藩島は
そのまま虚空に浮き上がった
のである。

後にウーリューウ藩島史上
最大の転換事象となる。