『ダー゙ーゴ゙ラーーーン..ダ゙ゴ゙ラーーーン..ゴガラーーーンカガラーー...』

夕闇に沈む
薄銀のドームで覆われた
藩島の空は

相変わらず
『ドジャ!ベショ!』と
黒い雨が降るのを、
『ベリッ!バリバリ!』と
虚空で狩りをする
『オキノハマ』達を乗せた
翼龍隊が入れ食い列に
休みなく飛んでいた。

『ダーゴラーーーン.O gloriosa
**゜**・゜

その虚空で格闘する男達の
眼下には
ウーリューウ藩島全島を震わす、
祓いの鐘を掻き鳴らし
白亜の大聖堂鐘塔が
夕闇に
白く浮かび上がる 。

虚空から遠く下に
ウーリューウ藩島を見る、
翼龍隊長ドゥワネイは
一進一退の時で
ありながら
どこか誇らしげに

「 何度みても、我が藩島は
宝石の様に美しい島だな。」

『術』を白銀にする
ドケエモンに
向かって
同意を求めて。

「 ワシラタチン シマゥ、
トリコンダ トコロヤケン、
ニゴジュウジャチャ! 」

そんなドゥワネイに
『オキノハマ』の漁師
ドケエモンは 当然だと
白い歯を見せて
笑った。

*・ο゜**『 ダゴラーーーン
Domina, 』 excels
゜**・

空に張り付く
黒い泥雨の、『ドジャ、ベショ』
と『ベリッバリバリ!』の
振動は
大聖堂にまで
聞こえる程だが、
空は黒一色には未だならない。
それを、確認しつつ

魔導師ザードは、ヤオと組んで
白亜の建物の奥、
礼拝堂の天井に
飛んで
『遠隔の窓』を通じ
結界の綻びを繋いでいた。

「ヤオ、疲れたろ。少し休め」
ザードがヤオを案じる。

離れて、
「 空でドゥワネイ殿達が『術』
を剥がしてくれるから、まだ
マシだが、天井に飛びながらの
体勢は体力も魔力も消耗する」
参ったなと、
魔職人ハーバナが
とうとう
弱音を吐いた。

何故『遠隔の窓』をこんな所に
配置してるんだ!と、
他の魔導師や魔職人も
疲れから各々出てくる文句。

そこに突然!出し抜けに
声を掛けたのは、

「なして、足場作らんのか?
ずっと飛んじおりゃ 疲れる
ちゃよ。魔法は 水牛が ずっと
力出しちょんと同じなんやろ?
足場作れば そん分
力使わんけん楽やわ、やるちゃ」

『オキノハマ』の男の声。

入れ替わりで、
夕食の声が掛かる時間。

宰相カハラが、
侍従と『オキノハマ』の男を
連れて夕餉を礼拝堂に
運んできたのだ。

魔職人ハーバナが驚く。

「足場というが、島には余計な
木材はないのだよ。石材もだ。」

『オキノハマ』の男は

「 わしら島人やけん わかる。
ここなら、軽い網と布じ充分、
浮かせれますちゃ。やろうえ」
無邪気に
続けて魔用品の網を示した。


ο゜**『
 super sidera,..』
**゜**・゜・*・ο゜**


遠視すれば、他国の軍灯は
更に更に数を増している。

海の街のギルドでは、
虚空へ翔んだ志願者達が
戻って休む暇なく
次への備えに
嵐の忙しさで、

「海馬達の装備は?」
ギルドの長、
ラジが 戦闘の用意をしている。

「 タヌーとこがきて、手伝って
くれてるから、モケもマサバも
海馬に集中できてるよ、親父」

さすがに本当の魔獣での戦闘に
なるかもしれないと、
ラジの息子ヤケラも
ギルドに残ると決めていた。

志願者として
異世界人の救出には
出て無事に戻ったが、

「 海街は オレ達が守る。無茶は
しないでくれよ。次元津波だっ
て、直に被ったんだからな! 」

今度は自分から
ギルドをはじめ、
幼なじみのロミ達女子供や、
年寄りを守ると、
ヤケラは言ったのだ。

「 おうよ!ラジ!うちの長は
無茶ばかりしやがる!この
レサがいなきゃあ、止める奴が
いないんだからなぁ!オイ!」

ナジール!甲冑を締めてくれ!
と、ギルド副長レサが、
タヌーの息子で
職人のナジールを呼ぶ。

「 レサおじさん!まだ全部締めて
ないのに、歩き回らないでくれ!
新作の甲冑は留めが多いんだ!」

ネックガーターを締めながら
ナジールが叫ぶ。

ギルドは、冒険者達が
久しぶりの英雄ラジの闘士姿に
煽られ異様な熱気を
帯びきた。

海は未だ乾上がっている。
例え『術』が効かなくとも
海水がなければ
魔獣海馬で藩島に直接侵略を
他国は試みるだろう。

「 結界で阻まれていても、
仕掛けてくる。戦闘民族なんざ
そんな奴らの集まりだからな」

海沿いからは、
決して奴等を上がらせない。
そんなラジの横顔を
ナジールも顔を引き締めて
見上げる。

「 マイケルが言っていた、有事。
この為に、魔用品や防具を
魔充石から作ってきたんだ。」

祈りの込められた
あの、弔い鐘は
再び掻き鳴らされ始めた。

ラジの鬣も総立つ。
海に沈むはモノにあらず

ο゜**
『 ゴガラーーーンガラー**゜ο゜
**・゜』*


城や城下で始まる炊き出し。
夜の帳が降りると、
一層
遥か遠くに他国の軍灯が
虎視眈々と揺らめく。

大聖堂の鐘搭で
鐘突き魔法を行使する
恐れ多そうな様子の鐘付き係。
その訳、
老中キプチャクに
大奥台所が、
食事を運んで来た。

「 キプチャク様、自ら鐘突きを
なさるなど。奥局様がご立腹
でございますよ。夕餉です。」

簡単な膳でございますがと、
鐘付きの2人の分も
奥台所が並べる。

「 言うな。大奥は、奥局がいる。
妃候補達も、奥礼拝で祈られ
て、おられるのじゃから、
せめて儂ぐらいは、弔い祓いの
鐘の責を負わねばならんよ。」

今朝、身罷ったマイケルへな。

老中キプチャクは
奥台所と鐘付2人に、
内緒じゃぞと
淹れられた茶器に
手を伸ばす。

「 此度の難。もしもマイケルの
存在がなければ、まずは儂が
魔力注入の贄になったのだ。」

キプチャクの突然の告白に、
鐘付2人が汁を吹いて 驚いた。

「 そのように、なっておった。
当たり前じゃ。テュルク様は
魔力量は膨大じゃが藩島の主
にその責は負わせられん。
魔導師ザード殿もしかり。
なれば、この老いぼれじゃろ」

年による
白髪の髷を撫でて、
キプチャクは 遠く海を見て
息をついた。

「 キプチャク様とて老中 。
大奥取り仕切りと、外向き
国交は重責の役でございます」

奥台所の言葉に、キプチャクも
お主とて、ここへ来る役でも
なかろうと、
笑うと、鐘付2人が 顔を
見合わせた。

*・**『 qui te 』
**・゜・*・。

礼拝堂には
サーカスのテント幕さながら
網の上に布がはられ、
上を魔導師や魔職人が歩き
魔法陣を組み換えに奔走している

幕の下から、宰相カハラが
指を舞わして、
テュルクに報告をしながら、
天井のハーバナに叫んだ。

「 しかし、大丈夫だろうか?
地空結界を組み換え、
空水結界に改めなど無謀では?」

魔職人ハーバナは、他の職人に
指示を出しながら

「『オキノハマ』の築城師との
話で気がついたのでございます。
彼等が計画していた水上築城。
きっと藩島に応用できます。」

ハッキリとカハラに答える。

「 しかし、その起動魔力は
何処から持ってくるのか?」

重ねてカハラがモノクルを
指で上げ問い詰めれば、

「 カハラ殿、うまくいけば、
浄化した『術』のエネルギーが
使えるかもしれない。」

ザードが今度はそれに答え、

「 地結界より、水結界は島が
海に囲まれる分 起動魔力も
かからないはずです。 」

ザードの隣で組み換える
ヤオも付け加えた。

それらの言葉に、
礼拝堂の天井で作業をする者に
去来する 希望。

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vreavit provide, 』**゜ **・゜

ならば永年の悲願、
『藩島の沈下』を食い止められる
のではないか、、

宰相カハラの片手が
期待に、グッと握られ、
地下宮に座する
藩島主に、その希望が
伝えられた。
**゜**・゜・
島を地から切り離すと。

『 lactasti
...ゴガラーーーンガー*・』゜・*・sacro ubere.  
**゜**・゜・*・ο゜**
...