再び鳴り響きだした祓いの鐘を
背後に聞きながら

『ダーゴラーーーン.O gloriosa
**゜**・゜

王将軍テュルクは、
宰相カハラの勧めで 近達グランを
引き連れ
地下獄卒宮に、降りてきた。

天然の洞窟を利用した
地下の大空間には、
日の光は届かず
切り出した岩肌の壁を、
漆黒の闇が
湿気と
地下水を滴らせる
影を作ながら

オレンジの魔灯が並ぶ。


「 普段、滅多に入る事の無い
この場所に、今日は何度足を
運んでいるのだろうな、、」

自嘲する藩島の主
テュルクの声に、後に続く
宰相カハラや 近達のグランは
黙して
歩けば。

普段は戦闘による、他国の捕虜を
多数拘束する檻があり、

実際今朝まで
そこには1人だけの
囚われの者がいた事が

夢の様に遠い。

*・ο゜**『
ぐるりよーだ ダゴラーーーンDomina, どーみん 』 excels
゜**・

「 カハラ、さっきから聞こえる
この唄は何だ?聞いた事のない
呪文だが。何か、詠唱なのか 」

テュルクは、
地下獄卒宮に近づくに連れて
大きくなる唄に、耳を傾ける。

「 それが、『オキノハマ』達の
祈りの唄らしいのです。男達が
今は率先して作業をするので、
残された女達が皆、唄い祈り
始めましたもので、、 」

カハラがモノクルを
合わせながら
地下獄卒宮の奥を
指差す。

沈む異世界島から
救出した民『オキノハマ』。

殆どは、志願者達の手で城にまで
運びこまれたが
翼龍隊が乗せた
『オキノハマ』の一部男達は、
まだ虚空に
残されている。


「 あちらの岩棚に、例の箱を
置きまして、祈っているので」


ο゜**『
いきせんさ super sidera,..』
**゜**・゜・*・ο゜**
と、
見れば
確かにホンノリとオレンジの
灯りが点る中に、金色の箱が
並び
この前で『オキノハマ』の
女達が
崇高な旋律で祈りを
唄っていた。

「聞いたことのない祈りですね」

赤髪を獄卒宮の風に揺らし
グランが、呟くと
テュルクが
目を綴じて暫く佇む。

「 彼等は、『オラシオン』と
言っていました。何曲かある
みたいですね。さテュルク様」

カハラが肩下げた前髪から
見えるモノクルに
オレンジの光を映した。


ο゜**
『 ゴガラーーーンガラー**゜ο゜
**・゜』*


ウーリューウ藩島城にある
地下獄卒宮は、
捕虜を収監する
大空間の檻宮と
国の貴人を
収監する貴人檻宮とある。

「 本来ならばテュルク様が
いらっしゃるべき場所では
ございませんが、今『術』が
無数に放たれる中で、安全と
言えますのが、
『オキノハマ』達を盾に囲む
貴人檻宮でございましょう。」

こちらで
今から指揮を
お取とり下さいませと、カハラが
説明を続ける。

「ここで?!」とグランが
躊躇いだ。

「 皮肉なものだな。しかし、
ならば妃候補達も こちらに
避難させるべきではないか?」

当のテュルクはそれに構わず
カハラに問う。

「 安全とはいえ、獄卒でござい
ます上、異世界人もおります。
彼等の性質も、菌の持ち込みも
問題ございませんが、後宮を
仕切られる老中キプチャク様が
首を縦には振りませんでした」

今、
大空間の檻宮は、
異世界人『オキノハマ』達を
一時的に居住させる為、
檻を外し、
彼等も伴って
改築をしている。

「 そうか。大奥も幾重に護りを
張ってはいるからな。問題ない」

王将軍テュルクは頷き、
宰相カハラや、近達のグランを
連れ 獄卒宮の奥に
進んだ。

*・**『
すんじらしーでら qui te きちや』
**・゜・*・。


今朝より再び、
己が
マイケルに白刀を当てた
貴人檻宮へと入いる。

「 さすがに、もう血飛沫は
拭って、、いるだろうな、、」

テュルクは、そのまま
ゆっくりと 貴人檻宮の最奥に
歩みを
進めた。そこには
最早 誰もいない。

檻とは言え、
宮というだけあって
此所は
罪をなした貴人が繋がれる

地下離宮とも言える場所は
ここで、今朝まで
マイケルが使っていた。

調度品も地上の城程ではないが、
きっちりと
家具も揃い、

ぬくもり そして広い。

特に今は、
仮初めの王将軍の居住の宮。

細かな調度品も
幕盾も掛けられていた。


「テュルク様!こちらに執務机を
運んでございます。簡易玉座と」

奥に消えたテュルクに向かって
宰相カハラは、机に地図を
拡げて 叫けび

近達グランは、
侍従に茶器の用意をさせる。

**゜**・゜ 『 ・*・ο゜**
vreavit provide,きゃんべぐるー
りで』**゜ **・゜


寝殿を抜けて更に奥。

更に巨大な空間が現れ、
そこには熱泉が沸いている。

影牢の様に熱された
空気が微睡む中、

テュルクは、
今朝マイケルがいた場所に
独り立っていた。 

熱泉がある、磐石。

ここに巨大な古代魔法陣を
マイケルは
出現させていたが。

「あれが、如何なる陣なのか。」

考えたくはないが、、
あの陣で 今の事態になっている
事はないのか?

その可能性にテュルクは
頭を振った。

マイケルには
魔力が、無い。
陣を発動させるは、皆無だ。

闇にオレンジに浮かぶ
巨大空間は、
まさに地下の天然宮殿。

熱泉は骨をもドロドロに溶かす。

その蒸気に煽られ
テュルクは
出逢いを 思い引き出され

「 初めてマイケルと会ったのは、
城下に降りて
海街のギルドに珍しく
ギルド長のラジに会いに行った
時からだから、長い付き合いだ」

誰もいない空間に語る。

まだ、
マイケルが
海底都市の遺構に
潜って
ハントをしていた頃からの
間柄で、

その気質も性格も、
泳ぐ姿さえも、己が良く
解っている。

マイケルが、
大公令嬢の暗殺計画?

それは無い。
そして、何かの
理由がある。

テュルクは、
今朝
間違いなく そこにあった
磐岩の乾いて 或はずない
血の跡を
指で擦る。

**゜**・゜・
『 lactastiらだすで 
...ゴガラーーーンガー*・』゜・*・

本来は、妾腹のテュルクが
後宮を持つ予定はなく

妃を娶る事もなく

次期王帝が子を養子に
後世渡るはずだった。

ならば 王将軍として
この景気に
感謝するべき、なのだろう。

皮肉にもそれをもたらした
人物とは

**・゜・*・
sacro『 ubere.  
さあくらぅーべり**゜*
*』・゜・*・ο゜**
...

「添い遂げられなくともか。」