海が大地へと替わるかに乾上がり
空には黒煙の塊が出現する中、
海域を統べるギルドの長
ラジは、
広場に直下立つ
海神ワーフ・エリベス像の前で
己が身体を白く発光させていた。

『全魔導師!魔力全開注入!!』

優国魔導師ザードの指令と共に
ラジは
両手を前に掲げ、
ワーフ・エリベス像から
天空に吹き出る温水を
蹴散らしながら、

「覇覇覇覇覇覇ァァアアーー!」

注入孔路に太くうねる魔力を
連続叩き淹れる。

自身の身体が直接感じ取れる程
上空の黒煙な塊は近づいて、
ラジの体毛が
磁気で総毛立つ。

「括!間にっ合喘エ!」

最速で淹れ込まなけれぱ!!

鬣が逆立ち、蒼焰に揺る眼が
見る間に真っ赤になった!

腰に装けた道具入れから
鏡発光する大量の魔充石を
ガムシャラに片手吸収しながら
瀑水の如く
連続魔力を撃ち込む。
刹那
ラジの
背筋を雷が走った!!!
『ゴウーーーーーオオオオオオオオオ』
砂嵐のような磁気粒子。

「次元!津波!!か!」
最後の魔充石を吸収して、
渾身でラジが撃つ頭上に粒子の

『バザ!バザバザガザ!バシャバシャバシャーーーンンンンンッ』
濁流が降り注いで
ラジの身体を無数に穿ち抜く!

最後の鋼発光をラジは吸収し
内臓ごと蜂の巣に叩き付ける
漠粒を、

「ウガ覇覇覇覇覇ァァアアー!」

身体強化の甲冑で迎えいれる!

『ガタガタガタガタガタガタ』
突然大地の振動に、
空気が揺れた?!!

その中に
父親ラジの阿鼻する声を
息子ヤケラは、、虚空で
聞いた気がしたと同時に、

『志願者に告ぐ!!異世界島!
瓦解!!磁気粒子の嵐に備えろ!
我ら藩島に 異世界島、墜落!』

翼龍隊長ドゥワネイの通信が
飛んで

『ゴァウーーーーオオオオオオオオオ
バザ!バザバザガザ!バシャバシャバシャーーーンンンンンッ!!』

眼下から轟音の中閃光が
貫いた。

「がっっ!!レサおじっ!!」

ヤケラが爆風と化した磁気粒子
から
身体を楯に、
背中の異世界子どもを
なんとか庇う。

副長レサは両肩に
異世界人を担いで飛んでいる
のだ。
まともに、爆風に煽られ磁気に
自慢の髭を焼かれた。

「おご!っつー!!!ヤケラ!
俺あ平気だ!綱ぁ締めろっ。」

ヤケラの心配をよそにレサは、
自分の魔力エンプティわかるな?
と、ヤケラに
必死で激を飛ばす。

「そりゃ、わ、わかるけど。
レサおじ、あの藩島、、降りれ
そうにないけど、、結界は、」

ヤケラは、レサの言葉で
まだ魔力の限界は来ていないと
自分を鼓舞しつつ、
眼下の光景に息が詰まる。

ウーリューウ藩島は、
上空から見ると、
まるで島がその体に
無数に銃撃を受けたように
蜂の巣に穿かれ、
継ぎ接ぎに
大地が抉られていた。

「ありゃあ、、ギリギリ結界が
間に合って、あれなんだろうよ
温水が止まってるからなあ。」

もう少し早ければ、空中で
粒子を跳ね返しただろうし、
そうなれば、
自分達 空の志願者は

「さっきの爆風ぐらいじゃ、
済んでないって?でもさ、、」

ヤケラは震えながら
眼下の藩島を
見つめる。
さっき、父親ラジの声がした
そんな気がした。

「レサおじ!崩れおちた
島の残骸が、磁気の嵐をおこして
藩島を通り抜けようってしてる』

あの磁気塊を 結界の中で
受けたといっても、
皆はどうなっただろう。
それに、、

ヤケラが片手を額にかざして
遠視すれば
明らかに、
藩島大地に光る魔法陣が、
途切れ途切れになっているのが
解る。

「あぁ、上からみりゃ、良く解る
なぁ。せっかくのデカイ魔力が
ちゃんと循環してねぇっ!」

クソ!本当に藩島は
無事なんだろうな!!と
レサが 両肩の異世界人を
落としそうな勢いで嘆いた。

異世界人は、誰も静かに
意識を落としている。

初め泣き叫び暴れる相手が
ヤケラに何かを投げつけ
救助を拒否した時、
いきなり相手は
崩れ落ちた。

それが両手にハーバナが
付加した守護だと気付くのに
ヤケラは時間がかかって。

「もしもさ、下が無事じゃない
とかなったら、どうするの?」

ヤケラがレサにそう
疑問を投げた時、再び

『ガタガタガタガタガタガタ
ガタガタガタガタガタガタ』
大地が振動をし始め、
虚空が振動を共鳴させていく。

その振動の波の向こうから、

「な、何か、?来る?!」

皮膚の下側がザワツクような予感
ヤケラの眼が光る、
レサの眼も光始めた。

『『来る!来る!来る来る!』』

虚空に浮かぶ志願者の眼が
超新星のように発光して連なり、
藩島上空に サークルを描く

城の展望で
次元津波を受けた 王将軍
テュルクも 混沌とする意識の中で
確実に 予感する。

来る!!

『カッ』

地面、いや海から
一気に物質も体も駆け抜ける
母なる巨大な古代陣。

無数に抉られた大地からは
何百もの虹色の水龍が大気へと

生まれ出で、

大気が原始の空気に
進化した。