白井 花太郎と真冬の帰り道しましょ。【完】

これから味わえる旨味に口内で唾液が分泌されるのを感じつつも、割り箸と味噌を取り出す。
そして割り箸を割るにも味噌の袋を開封するにも、一度立ち止まるべきだと判断した私が歩みをやめた瞬間、事件は起きた。


「おーいつーいたっ」
「にゃ゛っ!?」
「なんで声掛けてくれなかったの?」


べちゃ。
背後から突然肩を叩かれ身をビクつかせた私は、手に持っていたおでんのカップを落としてしまったのだ。


「ぎゃあああああー!?」


悲鳴を上げてすぐさましゃがみこむも、ひっくりかえったおでんのカップの中には、既に微量の汁しか残っておらず。
熱で雪が溶け顔を出した灰色のアスファルトに無残に投げ出されているおでんの具を前に、私は泣きそうになる。