白井 花太郎と真冬の帰り道しましょ。【完】

「大丈夫。いつかこっちに戻ってくる気満々だから」
「そういうこと言う奴に限って、地元を簡単に捨てるよね」
「僕がそんな薄情な人に見える?」
「見えるから言ってんの」


なんて意地悪してみると、わざとらしく驚いた反応を見せる白井。
そういう余裕のある態度がいけ好かないし、だけどこいつの魅力だともわかってる。

もし白井が向こうに住むことになったら、北海道の冬の寒さに堪えられなくなった私を、冬季限定で居候させてくれたりしないかな。
満更でもない笑みを浮かべた刹那、つるっと足を滑らせた私は思い切り尻もちをつきそうになったのだけれど、巻き添えにしてやろうと咄嗟にポケットから出した右手で白井の腕を掴むことに成功した。

短い声を発してまるでコントのように派手に転倒する二人。


「ははは、さっきのお返しのつもり?ほんと、鍋城さんって張り合い甲斐があって飽きないな」


てっきり怒られるかと思いきや、白井は参ったように笑いを零していた。
私も釣られて笑ってしまった。

黒タイツについた白い雪がよく映えている。