音楽会も無事に終わり学校の空気が変化したのを肌で感じた。
私を不躾に見に来る女子生徒が減り、男子生徒が増えた・・
どちらにしても面倒な事には変わりなかったけれど・・
刺すような目で見られなくなっただけでも良かったのかもしれない・・
二人の視線だけは相変わらずきつかったけれど。
その日、私は朝から頭痛が酷く気分も沈んでいた・・
何時もだったら聞き流せる事、
気にしない事もいちいち気に障って
全身が針山のようりピリピリして・・
部活が終わり何時もの様に三人で駅に向かっていると落合さんが合流した・・
私は一歩後退し距離を取り歩く・・
今日の私にはこの位の距離が必要だと思えるくらい針山の心。
その距離を彼女が一気に詰める・・
「離れて歩く位なら一緒に帰らなければいいのに・・」
小さな小さな心の声だと思う・・
普段の私なら聞き流し親友の為の言葉と取るのに・・爆発した。
「私は部活が終わり部員と一緒に帰宅しています。
それが可笑しいというのなら私は部活にもう二度と出ません。
明日退部届をだします」と・・三人は固まった・・
私は止まらない
「それに落合さん、なんなんですか?私、落合さんに何かしましたか?
接点もないのに毎回毎回睨まれると気分が悪いです。
何が気に食わないのですか?ハッキリ言って下さい。
口に出来ないのなら二度と私を睨まないで下さい。」
一気に捲し立てる。
「杏那、落ち着いて・・」
「落ち着いている。気分悪いから二度と一緒に帰りたくない。
海斗が落合さんと一緒に帰るなら私は海斗と帰らない」
(本当は一緒に何時までも登下校したい・・でも、限界だ)
心にもない事を口にし自分の言葉に自分が一番傷ついている・・
「杏那、俺は一緒に帰るよ」
その言葉に涙が一粒落ちる・・
下を向くと又一粒・・
その涙を海斗が指で拭く・・
そして顔に掛かった髪の毛を何時もの様に私の耳に掛ける・・
海斗は私の髪の毛を触るのがスキで顔に掛かった髪の毛耳にかけたり、
信号待ちしている時、電車を待っているホームで
私の髪の毛を一房掬ってはハラっと落とす。
それを何度も繰り返す・・
飽きるまで・・
私もその神経に触れないのに心には
電流が走る仕草がスキで心待ちにしている。
それをされると心が落ち着く・・
それを海斗も知っているのか今、それをする。
でも、今日の私の心はそれでは収まらず速足で一人駅に向かう
「安藤、今日は・・」
「解った・・」
先に歩く杏那を追いかけるように海斗が小走りで・・



