幼馴染に恋をして(杏那ver)


私が部活動で選んだのは合気道・・
海斗に誘われたから・・

「勉強は体力との勝負だよ・・適度な運動に適度な筋肉は必要だからね」

誘われなくても入部するつもりだったから
誘われて飛び上がらんくらい喜んだ・・

でも、もしかした斉木さんも居るかもと
少しドキドキして足を踏み入れた道場に斉木さんの姿が無かったが
懐かしい顔を見つけた。

「あ~君!」

「杏那ちゃん、久しぶり。明応にようこそ!」

「あ~君も明応だったんだね。」

「知らなかったの? 藤原 冷たいわ!」

「安藤、杏那を名前で呼ぶなって言っているだろう」

「はいはい。解っていますよ。」

私は昔から変わらないその遣り取りにクスクスと笑いが止まらなかった。
同じ空手道場に通っていた私達3人。

海斗と(あ~君)こと安藤君は同い年で空手と塾が一緒。

あ~君が5年生で受験の為に道場を止めるまで毎回、
この遣り取りは繰り広げられていた。

「も~り~ 小学生だったのに随分可愛くなっちゃって・・」
「・・海斗が心配するのがわかるわ・・」

「うん?なに?」

「なんでも無いよ。今以上に強くなってどうするの?」

「合気道は初心者なので宜しくお願いします」

「杏那、安藤に宜しくなんて言わなくていいから・・」

「は~ 藤原、俺だって一年間、合気道しているの・・先輩なの。解る?」

「フッ 杏那に直ぐに抜かれるくせに・・」

「俺だって5年生で空手辞めなければ二段には昇段していた!」

「二段になってない人間が言うな。杏那は俺と同じ二段だ。」

懐かしい遣り取りに不安だった気持ちが少し緩和された。

殆ど一緒に登下校をしていた私達・・
私の学年では海斗は過保護な兄貴との認識が浸透していて
最初からその風景に溶け込んでいた私達は何の違和感も無く
又、斉木心愛さんと海斗が一緒に居るのを一度も見た事が無く

1年間を静かに過ごせたが中学2年になって初登校した時に学校が騒然とした理由が
私には解らなかった。

何人もの上級生の女子が私の教室に顔を出す。
まるで私を値踏みするような視線を私に投げかけていた。

その理由を知ったのは暫くしてからだった。

クラスメイトのお姉さんが王子と一緒に登校している中学生が誰かと
弟に問い質し・・
その事をそのクラスメイトが翌日わざわざ報告してくれた。

海斗が王子と呼ばれていたこともこの時に初めて知り何となく納得出来た。

そのクラスメイトは「入学当初から一緒に登校している。
中学2年生全員が知っている事で今更驚く事では無い」と話したと教えてくれた。

いずれ名前もばれるだろうから名前も言ってしまった。
とそこは謝られたけれど・・
姉に問い詰められたら言わない方がムリなのは
一人っ子の私でも理解できるので、笑って大丈夫と話した。

穏やかに過ごせた一年は貴重だったのだ・・痛感した。