幼馴染に恋をして(杏那ver)


そこに取り残された形の二人は動くでもなく喋るでもなく立ち尽くす・・

その緊張感に耐えられなくなった落合胡桃が

「ゴメン」と口にする・・

「どうして俺に謝るの」なんの感情も籠っていない声にピクリと身体が震える。

「胡桃が謝るのって俺?」

「違う・・」

「じゃあ、俺に謝る必要ないよ」

「翼、怒っている・・」

「俺、前にこの件で話したこと覚えている?」

「うん・・」

「それなのに何で?」胡桃は項垂れる。

「胡桃にとって斉木は親友でも、
俺にとっては森の方が付き合い長いから・・
胡桃が藤原を好きならその態度に森も納得出来るかもしれないけれど、
そうじゃなくて友達の為にやっているなら違うだろ。
藤原の側にいる事によって斉木が傷ついている。
だからって森を傷つけて良いの?
あんな態度とっても森は傷つかないと思っているの?」

・・・「森さんに謝らないと・・」

「だな、でも今は追いかけても無駄だ。
森はああみえても凄く頑固で気が強い・・
多分、藤原でも退部届を撤回させるのに
自分も辞める位の覚悟じゃないと撤回しないよ・・森は・・」

「私、藤原にも謝らないと・・」

「藤原に森の機嫌が直ったか聞く。それから謝ろう一緒に行ってやるから」

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一週間、私は部活に顔を出さなかった。

腹立たしさより感情を爆発させてしまった事が恥ずかしかった。

その間、海斗も部活に行かないで私と一緒に帰宅していた・・

そんな中、帰宅するために二人で歩いていると大きな銀杏の陰から 

あ~君と落合さんが顔を出した・・

私は反射的に海斗の背中に隠れ制服の裾を握る・・

落合さんはそんな私を悲し気な目で見たような気がしたが
凄い勢いで私の前に現れ

「傷つけてごめんなさい」と頭を下げた・・

あの日から時間も経っていたし何より海斗が部活に行ってない事が
私のささくれだった心を修復してくれていたから素直に

「もう、大丈夫です」と口にしていた。

取り合えず私達は和解した。
この件があったから落合さんと仲良くなれたかと言うとそんな事は無かった。
私と落合さんは適度な距離を保つに留まっていた。

そして何故か あ~君も一緒に謝罪してくれて私は退部届を破棄した。