「完璧かぁ」

「うん」

リリカちゃんはわずかな間のあと、首を横に振った。

「あたしは自分のこと完璧なんて思ったこと一度もないよ。むしろその逆」

「え？」

「あたしは欠陥品。必死になっていろんなものつぎはぎにしてくっつけてなんとか生きてるの」

「つぎはぎ？」

「そう。あたしの人生はつぎはぎだらけ。いつか壊れる日が来るのにね」

リリカちゃんは微笑んでいた。

だけど、目は笑っていなかった。

手元にあるレモンティーが入ったグラスに視線を落としたままだ。

どうしてそんなに悲しそうな顔をしているんだろう。

その理由が私には分からない。

私はリリカちゃんのことを何も知らないんだと実感する。

何か言いたい。リリカちゃんを励ます言葉を。でも、私はそんなに器用じゃない。

「私もだよ、リリカちゃん」

「え？」

「私も一緒。つぎはぎだらけの人生を歩んでる」

中２の夏、私は全てのものを捨て去って命を断とうとした。

それは未遂に終わったけれど、今も心に深い傷と後悔が残っている。

でも、今……リリカちゃんと出会った今、私は少しづつ生きているということを実感している。

「だからね、大丈夫だよ。リリカちゃんだけじゃないよ」

なんて言ったらいいのか分からないし、そんな月並みなことしか言えない。