きっと二人は以前から私とリリカちゃんが言葉を交わしたりすることに嫌悪感を抱いていたに違いない。

スクールカーストの頂点に位置するリリカちゃんたちグループと最下部に位置する私が馴れ馴れしく彼女と言葉を交わしたりしてはいけなかったのかもしれない。

「ごめんなさい……」

どうして謝っているのか自分でもよく分からないけれど、きっと謝った方がいい。

そして、ここで宣言したほうがいい。

もうリリカちゃんとは気軽に言葉を交わさないと。

そうしないときっと――。

「でもさ、リリカもリリカじゃない?誰彼構わず声かけるし」

「分かる~!まあいい子なんだけど、時々ハァ?って思うことあるよね」

「あるある!」

二人の話題が徐々にリリカちゃんの悪口に舵を切ったことに気付いて、私は「ごめんなさい」ともう一度謝った。

リリカちゃんが私のせいで悪口を言われているなんて耐えられない。

震える指先を左手でぎゅっと握り締めた。

「ごめんなさい。だから……」

――だから、リリカちゃんの悪口をもう言わないでください。

リリカちゃんが私のような立場にならないように、辛い思いをしないように。