「でもね、ある人に言われて考え直したの。彼女の分まで生きようって。そして繋いでいこうと思った。彼女の想いや言葉や考え方を。私が彼女に救ってもらった分、今度は私が誰かを救いたいと思ったの」

目の前の女子生徒はごくりと唾を飲みこみ、何かを迷っているのか視線を机に落として左右に揺らした。

「言いたくなかったら言わなくてもいいわ。無理強いはしないから」

「先生……」

私はそっと窓の外を見上げた。

この席は太陽の光が窓から差し込んで暖かい。

私は彼女に黙って寄り添うことにした。


――リリカちゃん、元気ですか?

あれから10年が経ってしまいました。

私はそれなりに元気に暮らしているよ。

いまだにリリカちゃんのことを考えて涙を流すこともあるんだって言ったら、リリカちゃんに呆れられてしまうかな。

でもね、生きているよ。必死に生きてる。

だって決めたから。リリカちゃんの分までしっかり生きるって。

一日一日を大切に。

リリカちゃんにこの想いは届いていますか……?

窓から吹き込んできたやわらかな風が前髪を揺らした。

「先生、あのね――」

目の前の彼女が息を吸い込み意を決したように私に視線を向ける。