またいつか君と、笑顔で会える日まで。

肋骨骨折、内臓損傷、全身打撲。顔面は頬が目の位置まで腫れあがっていたらしい。

直接の死因は脳挫傷だと発表があった。

翌日、リリカちゃんの死を受けて休校となった。

どこから話が漏れたのかマスコミがこぞってリリカちゃんのことを取り上げ始めた。

母親に育児放棄され内縁の夫に暴力を受けた挙句、クーラーのついていない暑い部屋に放置され亡くなった女子高生。

隣人がお土産を渡すために部屋を訪れた時、リリカちゃんを発見し通報したもののリリカちゃんは帰らぬ人となった。

モザイク越しに涙を流してインタビューに答えていたのはリリカちゃんの身を案じていたあのおばさんだろう。

『あの子は笑顔で送り出してくれたんです。もしもあの日外出なんてせずに家にいれば騒ぎに気付けたのに。そうすればあの子がこんなことには……』

おばさんの涙を見ていられず、私はすぐにテレビを消した。

私も同じことを思っていたのだ。あの日、リリカちゃんが家に帰ると言っていたのにどうして引き止めなかったんだろう。リリカちゃんの口から母親の内縁の夫に暴力を振るわれていると聞いたことはない。

でも、隣人のおばさんにも聞いていたし体のあちこちにあざがあるのにも気付いていた。

家庭環境が悪いという話も聞いていた。

それなのにどうして何もしてあげられなかったんだろう。

もっとしてあげられることがあったかもしれない。そうすればリリカちゃんは死なずに済んだに違いない。

私のせいだ。全部、私のせい。