「でもさ、なんか不思議じゃない?ほんの少しだけでもタイミングがずれてたらあたしたちって出会わなかったじゃん?」

「そうだね」

試験の日に隣同士でなかったら、消しゴムを貸さなかったら私たちはきっと出会わなかった。

むしろ、その前段階かもしれない。

イジメられなければ、私は青光高校を選んでいなかったかもしれない。

仲の良い友達と一緒の高校に進んでいたことだって考えられる。

「なんかさ、うちらの出会いって奇跡かも?」

「そうだね」

「奇跡ってこういう些細な日々の積み重ねなのかもね~」

「そう考えると、過去にあった色々なことも無駄じゃなかったのかなって思ったりするよね」

「だねー。やっぱり今、この瞬間に幸せなのかどうかが一番大事なのかもね~」

目を見合わせるとどちらからともなくふっと吹き出した。

「なんかあたしたちめっちゃ固い話してない?まじめか!」

「やっぱり?」

「固いって~!でも、なんかあたし達らしくない?」

「そうだね」

ふふっと笑う。

「こんなこというの初めてなんだけどさ」

「うん」

「萌奈のこと、親友だって思ってもいい?」

「親友?」

「あたしさ、なんだかんだいって萌奈と一緒にいるときが一番楽で素の自分でいられんの
。ダメ~?」

「全然だめじゃないよ!あたしもリリカちゃんと親友になりたい」

嬉しかった。リリカちゃんの言葉に私は素直に頷いた。